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好奇心もホドホドに


「あははは、まさかつけて来るとはね」
「いやぁ、よくやってくれた。あんた達。おかげであたしは、塩峪と一緒に仲良く床とお友達になったよッ!あんた達!」
 
 
「うわわわわっ!」

  
 メニュー表を取り上げれば、あかり達が冷汗を流して「どうも」と挨拶してきた。
 制服ではなく私服姿になっているあかり、手毬、冬斗、雪之介は家に戻って着替えたのかどうかよく分からないが自分達の後をついて来たらしい。
 風花が「あんた達ね」と引き攣った笑みを浮かべる。

 冬斗が冷汗を流したまま「何処で気付いたんだよ」と聞いてきた。


 すると菜月が麻人が滑ってコケた例の濡れた場所を指差した。

 
「俺ね。見たんだ。あそこ、一瞬凍ったのを。すぐ溶かしたみたいだけど、俺、ちゃんと見たんだ。それで、分かったんだよ。アレ、雪之介さんがやったんだよね?」

 途端に雪之介が冬斗に非難の声を上げた。

「ホラー!だからヤメようって言ったのに!ふーちゃんが」
「俺じゃねえ!乙川だろ!」
「私?!違うよ、あかりが」
「えー?!私じゃないって!」


「大丈夫。皆様、同罪だから心配しないで」

 
 ニッコリと菜月は微笑んだ。
 嗚呼、怒ってる。菜月、珍しくも怒っている。恐怖を感じる。
 4人は冷汗を流しながらそう思った。


「怒らないでよー菜月先輩!」

「あははは、怒ってないよ。ただ代償として、これくらいの金額を皆様に払ってもらいたいンだけど?」

 
 持っていた電卓を4人の前に差し出す。
 4人は電卓に表示されている金額を持て愕然とした。

「16万円?!有り得ねぇって、この金額!」
「あ、4人で16万円だから」
「……それでもひとり4万円じゃないですか、先輩!詐欺ですよ!それに、テーブル代ってよく分からないですけど、僕達には関係ないでしょ!」

 雪之介の言葉に風花が満面の笑みを浮かべる。

「あららら?あたしに痛い思いさせたの、誰かな?それにあたし、今日は邪魔するなって言ったよね?」
「なのにあろうことかついて来て、あーんなことをする。いやぁ、困っちゃうな。風花と麻人さんが、あんなにくっ付いてさ。まるで?麻人さんに対して俺が嫉妬するようなシチュエーションだったみたいだし?」
「うっ、図星」

 手毬の言葉に風花は軽く溜息をついた。

「折角のデート。貴重なデートだったのにねぇ。しかもあたしの誕生日だったのに。泣けてくるね」
「16万円じゃ、足りない?増やしてもいいよ。風花の気が済むまで増やして」
「あぅー……そ、それは」
「ゆ、許して下さい!出来心だったんですぅー」

 あかりが両手を合わせて謝ってくる。あかりは未だ借金を返済していない。

 だから、この4万円は痛手だった。
 他の3人も両手を合わせて謝ってきた。

 風花と菜月は顔を見合わせた。営業スマイルを浮かべている菜月は、「どうしましょうか」とワザとらしく風花に訊ねる。
 今日の主役は風花だ。風花に決定権を譲った。風花は腕組みをすると、ワザとらしく唸り声を上げる。
 そしてキランと目を輝かせた。



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