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6-14


「あたし達さ。店してるわけ。“何でも屋”っていう店」
「林道?」

「だから、あたし達があたし達の店で式を挙げてあげるよ。人も呼んであげる。あんた達の知らない奴等ばっかだけど、気のいい奴等だからすぐ仲良くなれると思うし。折角なら、小波にウェディングドレス着させてやりたいじゃないか。女にとっては最高の晴れ舞台だよ。だから、この提案をあたしは塩峪達にするけど菜月はどう?」

「イイんじゃないかな。これに乗るかどうかは、麻人さん達次第だけどさ」

 
 麻人が小波を見る。
 小波は顔を赤くして手遊びをするばかり。
 
 して欲しいのは嬉しいけれど、最愛の人が嫌ならお断りするという雰囲気がムンムン出ている。
 麻人は心に決めたいようで頭を下げてきた。お願いしても良いか?ということだ。


 風花は「タダじゃないからね」と釘を刺す。 
 
  
「今日、あたし此処のメニュー食べ尽くす。それを全部タダにして。そしたらこっちも頑張らせてもらうから」
「……それでイイのか?」
「何?駄目なの?」

 麻人は風花の心遣いに顔を綻ばせた。

「恩にきるよ林道」
「フン、これでもあんたの元カノなんだ。盛大に祝らせて貰うよ」
「その前に、今日は風花の誕生日なんだから、祝って貰ったら?」
「ッ、それは別に」
「そうなんですか?!だったら、お祝いさせて下さい」
 
 手を叩いて小波が厨房へ向かう。
 麻人が「嬉しそうだな」と微苦笑していた。
 そして風花にまた礼を言う。風花は舌を出して「せいぜい、幸せ太りでもしなよ」と茶化した。

「可愛い可愛い小波に逃げられないようにね」
「皮肉屋は変わらないけど、今のお前は恐くないよ。性格可愛くなったな」
「へいへい、お世辞はいらないよ」
「これはお世辞じゃないって」
 
 2人のやり取りを見て、本当に不器用な悪魔だと菜月は笑みを浮かべた。
 麻人が小波の手伝いをするべく、厨房に消えていく。


 背を見送った2人は顔を見合わせた。



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