6-8
どうやらお知り合いのようだ。
顔を真っ青にしている塩峪(しおたに)という青年に対し、風花は最悪だと項垂れている。
菜月は交互に2人の顔を見て、何だか気まずい雰囲気だと思った。
口を出せない状況の中、菜月がどうしようかと考える。
すると、カウンターから小柄な若い女性がやって来た。
黒色かった黄緑色をしている髪、所謂海松色をしている女性がキョトントした顔で首を傾げる。
「麻人(あさひと)さん、どうしたの?何かトラブルでも?」
「小波さん。えっと、いや、その」
「風花……あの、聞き辛いんだけど、お知り合い?」
「……べっつー」
風花さん、全然べっつーっていう雰囲気じゃないのですが。
険悪なムードになりつつあるこの席、他の客は気にしていないようでメニューを選んでいる。(いや、もしかしたら気にしない振りをしているのかもしれない。)
冷汗を流して菜月は取り敢えず、小波(こなみ)と呼ばれている女性に挨拶をする。
小波は愛想よく挨拶をしてくれた。
さて、問題はこの2人なのだが。
お互い目を合わそうともしない麻人に風花。
堪えかねた小波が、麻人に耳打ちして「どなた?」と訊ねる。菜月もまた、風花に訊ねる。
2人は、暫く沈黙していたが、観念して風花が小声で言った。
「元カレ、こいつ」
「あ、なーんだ。元カレさん。風花の元カレさんね。どうも、こんにち……へ?元カレ?」
「麻人さんの元カノさん?」
「……はぁー」
刹那、今度こそ完全な沈黙が4人を襲った。
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