6-5
のんびりと駅に向かって歩いていると誰かと擦れ違った。
風花と菜月が足を止めて振り返る。
和気藹々と自分達の隣を擦れ違ったのは、あかり達だった。
日曜日なのに制服姿で街中を歩いているあかり達も、自分達に気付いたのだろう。
こちらを見て、驚いた表情をしていた。
「ふ、風花さん?!菜月くん?!」
「誰かと思いましたよ。うわぁ、デートですか?雰囲気全然違いますけど」
「ホントなの!先輩達!」
「おいおいおい、乙川。目が輝いてるぞ」
冬斗のツッコミにも気にすることなく、手毬が両手を合わせてキラキラと目を輝かせている。
風花は自慢したくて仕方が無かったらしい。「これからデートさ」嬉しそうに風花は胸を張った。
「菜月が誘ってくれたんだよ。あたしの誕生日だからってね」
「菜月先輩が?!」
「そうさ。もう、あたしは感激だねぇ」
するとあかりまで、「何処へ行くんですか!」と目を輝かせて聞いてくる。
風花は自慢げにこれから行く先を伝えた。
2人は何故か黄色い悲鳴を上げる。
「あそこに行くんですか!羨ましいです、風花さん!」
「いいなー!いいなー!」
……嗚呼、女の子って何なんだろう?
菜月は空笑いしながら、あかりと手毬の相手を風花に任せ逃げようとするが、敵はあと2人残っていた。
冬斗と雪之介が笑みを浮かべて、肩に手を置いてきた。
「やるっすね。菜月先輩」
「いやぁ、ちゃんと言って下さいよ。僕達、今からお店に向かうところだったんですよ?風花先輩のお祝いをする為に。まあ、後日お祝いさせて頂きますけど?」
「あ……あははは。それはごめんねッ、さあ!風花!時間時間!」
菜月はあたふたと慌てながら駅に行く。かなり照れているようだ。
クスクスと笑いながら「そういうことだから、邪魔するなよ」と茶化し、風花は菜月の後を追った。
今日は2人にして欲しいと遠回しに言う風花に、あかりと手毬が肩を落とした。彼氏欲しい、とぼやいている。
雪之介は「ああ見えても2人って大人だよね」と2人を見送る。
先に歩き出した菜月だったが、追い駆けてくる風花を待っていた。
自分の隣に並ぶとゆっくり駅に向かって歩き出す。
デートする雰囲気、やっぱり自分達がするのとでは違うと雪之介が語る。
しかし今日の予定が狂ってしまった。
さて、これからどうしようか?4人は顔を見合わせた。
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