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6-4
 

 
 と、まあ……結果、今のような服装になった。


 この服装になるまでまた、時間をどれだけ費やしたのか。知るのも恐ろしい。
 菜月が、思い返しては心の中で溜息をつく。
 そんな菜月を余所に風花はとても嬉しそうだ。勝気で男勝りで悪魔様であっても(悪魔は関係ないような)、やっぱり風花は女の子だ。こういう行事、嬉しいのだろう。


 風花は目を輝かせて、「まだ?」と聞く。


「あと、どれくらいなワケ?ねえねえねえ!」
「風花。さっきも聞いたよ、それ。だから、電車に乗るんだって」
「だってさっ!早く行きたいンだし?」

 びゅーっと空でも飛んでしまいたい!なんて言う風花。


 ああ、もう、言うこと成すこと子供だ。
 菜月は微苦笑した。


 只今、2人は駅に向かっていた。
 風花の誕生日だからということもあり、菜月が風花の要望を聞けば「最近できた海の近くの美味しいレストランに行きたい!」なんて言ってきた。
 
 テレビっ子であり、情報通な風花はそういう地域の情報を知ることは菜月以上に早い。
 「そこに行ってみたい!」何度も何度も言うものだから、そこに行くことに決定した。

 後で菜月がこのレストランを調べてみたところ、「恋人がよく行くレストラン!」として有名になっている。


 風花はこの言葉に惹かれて、此処を選んだのだろう。(勿論、美味しいことでも評判だそうだが)

 
「今の時間帯は多いかもね。お昼頃だし。でも、俺達が着く頃には結構空いてるかもよ」
「海が近いから、食べ終わったら『ダーリン私を捕まえてごらんなさいごっこ』したいかも」
「……それって、浜辺で追いかけっこ?いやいやいや!一生捕まえられないよ!風花、足速いから!」
「ンー確かに。今の時期の海って寒いから走る気……失せるかもね」
「あははは、そんなこと一言も言ってないンだけど」


 真剣に悩んでいる風花の隣で菜月は空笑いを浮かべる。
 自分の運動音痴を考慮してくれるのなら、是非そのご希望は諦めて欲しい。一生、追いかけっこをする羽目になるから。



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