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5-16
 

 最後は風花のプレゼントだ。
 手に取れば、風花が目を輝かせる。

「あかりや手毬に付き合ってもらって、買ったんだ!迷ったー」
「へえ、そうなんだ。何だろうなあ?」
「写真かビデオ、迷ったー」
「……って、まさか、心霊写真とかじゃないよね」
「そーだけど?」
「うわっ、?!それはああああ?!」
「ジョーダンだって」

 何処まで冗談何だか。
 菜月は愛想笑いを浮かべながら、中身を開ける。

 少しだけ覚悟していた。
 ホラー系グッズではないか?と。



 しかし、相反して、中から出てきたのは。



「懐中時計。あ、しかも」
「開けるとオルゴールが鳴るの!あたしそれ見て、ズビビビッてきたわけさ。あんたにピッタリっつーか?」
「綺麗だね、オルゴール」
「だっろ?あたしにしちゃイイセンスだと思うね」



 皆から貰ったプレゼントはどれも嬉しかった。それは本当だ。


 
 でも、やっぱり1番嬉しかったのは彼女からのプレゼントだったと思う。
 彼女は、きっとこれを、悩んで悩んで色々見て買ってくれたのだろう。
 想像しただけで笑みが零れてしまう。


 蓋を閉じて菜月は礼を言う。

 途端に風花は、何故かそっぽを向いた。

 こういうことはへそ曲がりなのだ。自分の彼女は。


「んじゃ、ケーキ食べようか?皆さん、飲み物はどうします?皆、紅茶でいいですか?」
「あ、ジェラールがするわよ?主役さん?」
「いいえ、これくらいはしないと悪いですよ。じゃ、ちょっと用意してきますね」
 
 台所に向かう菜月に、風花が「早くしろよー」と急かした。
 どうやら、早くケーキを食べたいようだ。

 苦笑しながら菜月は切り分けててイイことを言って、台所に立つ。
 ヤカンに水を入れ、ガスコンロに置くと火を掛ける。
 沸騰するのを待ちながら、菜月は皆にばれないよう懐中時計を見つめる。


 開ければ開ければオルゴールの鳴る懐中時計を見て、菜月は笑みを浮かべる。
 


「やっぱり、風花に敵わないなぁ」

 

 勝気な銀色の悪魔に勝ったことなんて1度もないけどさ。


2007.12.24


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あきゅろす。
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