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5-15
 

 菜月は、嘆いている手毬に礼を言ってテーブルの上に置く。
 クスクス笑いながらジェラールが、菜月にプレゼントを渡す。

「はい、これ」
「あ、ジェラールさん。ありがとうございます……封筒?」
「開けてみて」
「え、あ、はい。何だろう……ああああああ!」

 菜月は目を輝かせた。封筒の中に入っていたのは2枚のチケット。
 チケットには『水族館無料入場チケット』と書かれている。
 水族館の無料入場チケットを見つめ、周りに花を散らす菜月。


 さすが動植物好きだ。目が凄く輝いている。

 
「風花と行きなさい。ねん?」
「はい!ありがとうございます!風花、水族館ー!」
「分かった分かったから……アシカとかイルカが飼いたいなんて言うなよ?」
「言わないよーたぶん」
「たぶんかよ!」

 たぶんじゃ困るっつーの!風花の叫び声は菜月の耳に届かない。

 イルカさんに会える、ラッコさんに会える。
 ウキウキしながらジェラールに礼を言う。

 プレゼントをテーブルに置くと、犬歯を輝かせたネイリーが前髪を掻き上げながらやって来た。
 懐から出したのは、真っ赤な薔薇の花束。それを菜月に投げる。

「さあ、親友!受け取ってくれたまえ!」
「わっ、とっと……あ、ありがとうございます……親友って」
「それから、真っ赤な薔薇と共にこれを」

 そう言ってネイリーが綺麗にリボンでラッピングをしているボトルを渡してくる。
 ワインだ。見たところ年代モノの赤ワインのようで、菜月はネイリーに「高かったでしょう?」と訊ねる。


 ネイリーは、「馬鹿だな」と菜月の両手を握る。


「君と僕の仲じゃないか。そう、お互い好きな女性を取り合った仲。今では親友。まさに、友情だな」
「あ、あはははは……すみません、手…イイですか?風花が恐いので」
「おおっ!フロイラインも僕に手を握られッ」

 風花がネイリーに拳骨を食らわす。頭を押さえているネイリーを余所に、風花は「あんたも何してるんだ」と軽く頭を叩かれた。
 何しているも何も、ネイリーからしてきたのに。
 
 ブツクサ文句を垂れたところでまた叩かれるだけ。
 菜月はそう思いながら、ネイリーに改めて礼を言う。少しずつワインは飲んでいこう。

「菜月くん!これ、私から」
「あかりさん。ありがとう。えーっと、ブレスレットだね」

 綺麗なブレスレットだ。
 石で作られているようで、石の表面が艶やかに光っている。
  
「それ、パワーストーンで出来たブレスレットなんですよ。菜月くんにあげた奴は魔よけです」
「ま……魔よけ」
「恐がりの菜月くんがお化けに遭遇しないよう、それをあげます。ホラ、なんだか会わない気がしません?悪女も近づけなくなりますッアッダー!」
「近づけるよ!ふ、つ、う、に!」
「殴らないで下さいよ!ブレスレットの他に、普通のパワーストーンも買ってきたんですよ!こっちは精神安定という効力が」
「せ、精神安定」
 

 普段から病んでいる様に見えるのかな、俺って。


 空笑いする菜月に、風花が「いつも安定してるっつーの!」とあかりに拳骨。
 心遣いですよ!と言うが、あかりがやるとどうしても逆効果になってしまう。

 それでも、菜月は風花を宥めながら有り難く受け取っておくことにする。



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あきゅろす。
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