5-10
「あんたの誕生日会、あたしがするっつったらする!オーケー?」
「おー……おーけー……だけど」
「だけどは不必要!」
「おっ、オーケーです!」
「宜しい」
ふんわりと笑みを浮かべる風花が「戻るぞー!」と片手を上げて歩き出す。
その後ろを、ネイリーとジェラールがついて行く。
風花の背中を呆然と見つめていた菜月の肩を叩いてきたのは、冬斗だ。
ニヤついて、「ラブラブっすね」と意地悪な笑みを浮かべている。
ぎこちなく冬斗を見れば、手毬や雪之介、あかりまで意地悪な笑みを浮かべている。
「感想、一言欲しいなー菜月先輩」
「私も欲しいですよ、菜月くん」
「彼女に此処までしてもらった感想は?なーつき先輩!私、聞きたいな!」
「どうぞ、一言」
迫ってくる高校生組に、菜月はまだ呆けながら頬を掻いた。
恥ずかしいとか、照れるとか、そんな感情よりも先に……と、風花が足を止めて振り向いてくる。
「お、忘れてた。菜月ーオメデトさーん」
それだけ言うと、また歩き出す。
思わず笑ってしまった。
出てくる感想は、恥ずかしいとか、照れるとか、そんな感情よりも先に。
「やっぱり風花には敵わないや。俺には勿体無いぐらいの、イイ女性だね」
微笑して、菜月はコートに手を突っ込むと驚いている高校生組を置いて風花を追い駆けることにする。
高校生組は顔を見合わせた。
「あれ、ノロケだよな?」
「まさか、こんな返答が来るとは思わなかったなぁー」
「風花先輩が天然のタラシっていう意味、よーく分かった」
「でも、羨ましいな」
「本条?」
「だって、それだけ想い合ってるんだもん。なんか、恋人って言葉で括り付けちゃイケナイ感じ」
想い合ってるのが綺麗過ぎて、恋人って言っちゃイケナイ感じだ。
あかりはそう言うと、両手を後ろに組んで溜息。早く恋人欲しいなーとぼやいている。
反射的に雪之介と手毬が冬斗を見て、大きく溜息をついたこと。
それに首を傾げた冬斗のことは余談にしておく。
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