クリスマスイルミネーション
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クリスマスイルミネーションを見に行こう。
誰が言い出したか覚えてはいないが、12月24日、クリスマスイブの夜に皆でクリスマスイルミネーションを見に行こう。と、
“何でも屋”の店内で話題で盛り上がり、クリスマスイルミネーションを見に行くことになっている。
つまり、本日、皆でクリスマスイルミネーションを見に行くのだ。
クリスマスイルミネーションといえば、来るクリスマスに向けて街全体が色とりどり電灯を飾りつけるもので、クリスマスならではの飾りつけが楽しめる。
独りで見るのは限りなく侘しいが、皆で見る分には楽しめるだろう。
“何でも屋”の店員2人を始め、ネイリー、ジェラール、それから仲良し高校生4人組のあかり、冬斗、雪之介、手毬の8人で見に行くことになっていた。
見に行った後は店に戻って、クリスマスパーティーをしようということにもなっていて、初めてクリスマスパーティーをする風花にとって喜び三昧だった。
イルミネーションを見る為、待ち合わせ場所としてあかり達の通う学校の正門前に向かっていた風花は、真っ白なマフラーに口を隠しながら嬉しそうに鼻歌を歌っていた。
スキップでもしそうなほど浮かれている。
手に持っている大きめのバックを揺らし、足取り軽く、さっさと歩いて行く。
隣に並んで歩く菜月は苦笑して、風花の様子を見ていた。
女性は行事ごとが好きなのだと、つくづく実感する。
現にジェラール(中身は男だが)も鼻歌を歌いながら歩いている。
綺麗なイルミネーションを皆で見られるという喜びが募っているのだろう。
2人の浮かれように、笑うしかない。
ネイリーさえも2人の様子に笑っている。
自分が喜ぶよりも、2人の様子を見ている方が楽しそうだ。
きっと、あかりや手毬も浮かれているのだろう。
ネイリーが密かに菜月と予測する。
案の定、待ち合わせ場所である学校の正門前に来ると、先に来ていたあかりと手毬は上機嫌だった。
冬斗が呆れるほど、テンションが高い。
テンションの高い風花とジェラールが、テンションの高いあかりや手毬と会話を交わし始めれば、それこそテンションは急上昇。
男性陣達のことなんか忘れるほど、クリスマスイルミネーションのことで盛り上がっていた。
雪之介は可笑しそうに笑う。
「凄いね。女の子達」
「スッゲーってもんじゃねえよ。あそこまでいけば、馬鹿煩い」
「ふっ、女性の煩さはまさに、賛美歌のようだと思わないかね?」
「……ネイリー先輩だけっすよ。あー何がそこまで嬉しいんだ?クリスマス」
「やっぱり、ロマンがあるからさ!女性はロマンと薔薇が好きなもの。小さい頃の僕の夢は、世界中の女性のサンタクロースになることだったしな」
目を輝かせて熱心に言うネイリーに少し引く冬斗。
それ、真面目に言っているのか?
だったら、ネイリー先輩って馬鹿じゃ……年上に馬鹿っていうのは失礼だろうけど、世界中の女性のサンタクロースになるって夢……ま、夢だ。
本人の夢を貶すのは良くない。
女性が薔薇好きかどうかは置いておいて、夢を貶すのはヤメヨウ。
冬斗は自分自身に言い聞かせた。
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