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「それは困ったわね。菜月と風花を親と思って、やって来たなんて……調べてはいるのかしらん?」
「ええ。けど、何も情報がないんです」
「フム、情報がないとはまた厄介だな。このまま無かったら、子供達はどうするんだい?」
「風花と話し合って……本当に、俺と風花の子供にしようと決めているんです」


「お……親に?!ほ、本気ですか?!」


 凝視してくるあかりに、菜月は何度も頷いた。


 これは本気でマジな気持ちだ。
 生半可な気持ちじゃない。


 もし、居場所が、行き場所が、生き場所が無かったら自分達の下に置くと何日も何日も風花と話し合って決めている。
 ただ、徹底的に調べたワケではないから、まだ結論を出すのは早いだろう。
 調べに調べて、もし何処にも行くアテがなかったら、この店に置く。そう、心に決めている。

 ネイリーが眉を顰めて「厳しいぞ」と心配してきてくれた。
 
「一気に3人も子供を育てるのは、厳しいんじゃないかね?」
「だからって、追い出すなんて俺には出来ません。俺達を探して此処にやって来たんですし。施設に預けるという手もありますが」
「菜月が……したくないのね」

 小さく菜月は頷く。


「だって淋しいじゃないですか。親と思って子供達が俺達を訪ねて来てくれた。なのに、その俺達に施設に入れられる。凄く、淋しいじゃないですか。風花もその案には、大反対でしたし。それに結構、子供達と一緒にいて楽しいんですよ」
 
 
 店の中は3倍喧しくなったが、迷惑なんて思わないし、結構楽しめる。
 ただ子供と接するということは、それだけ体力が消耗してしまう。


 だから、自分はすぐバテてしまうが、子供と一緒にいることは楽しい。
 子供達に目を向ける。
 風花とジャレている子供達が、ああやって風花を母親と、自分を父親と本気で思うなら。居場所が無いなら……。
 

 微苦笑してネイリーは「決断が早いな」と言う。そうかもしれない。
 微苦笑返し「最後の手段ですけどね」と一言補足した。


 コン次郎が菜月の足に抱きついてきた。

 下を見下ろした菜月は、コン次郎のして欲しいことが分かり、コン次郎を抱っこする。


 すっかりパパさん顔の菜月に、あかりが頬杖を付いて様子を見守る。
 風花を見れば、風花も何だかんだで世話しているようで、コン太郎とコン三郎を膝に乗せて、相手をしてやっている。
 良いママさんをしているのは感心なのだが、普段の風花を知っている為、異様な光景だ。


 悪女の面影は何処へ行ったのだろうか?



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