4-9
「うっわー美味そうじゃん?」
「でしょう?今日はいつも以上に自信作。絶対美味しいって」
「あ、そういうの、お前味噌っつーんだよ?」
「……手前味噌だよ、風花」
何、お前味噌って。
お前が味噌ってこと?
苦笑しながら風花の方を見る。
風花はコン太郎とコン三郎を抱っこしていた。2人いっぺんに抱っこできる風花は凄い。
いや、彼女は力持ちだから、軽々と出来るよね。
力のない少し自分が情けなく感じるような……気にするだけ、ヘコむからヤメよう。
菜月は自問自答してウンウン頷いていた。
「おいしそう!」目を輝かせるコン三郎が、人差し指を口に銜えて風花を見上げる。
「かーたま、はやくたべたいよ」
「ちょっと待てって。あ、コラ、コン太郎。つまみ食いはナシだよ」
「だってぇー!おいら、たべたーい!」
「待ちなって。コン三郎、あんたもつまみ食いは駄目だからね」
指を銜えているコン三郎が、今もにも目の前の飯に喰らいつきそうだ。カレーに視線が釘付けだし。
2人を椅子に座らせながら、風花が「早く食べるか」と微苦笑する。
相槌を打って菜月もコン次郎を椅子に座らせる。
子供達は、スプーンを持って早く早く!と急かしてきた。
席に着いた風花は、「よーし」と何故か気合を入れて、思い切り手を合わせる。
真似して子供達も手を合わせた。
空笑いしている菜月は、ゆっくりと手を合わせる。
気合を入れたまま、風花は気合を入れて、食事前の挨拶を言う。
すると子供達も声を揃えて、「イタダキマス!」と大きく元気に言いカレーにがっつき始めた。
何故に、食事前の挨拶を言うのに気合を入れるのか、菜月には分からないが、風花は楽しそうに子供達の様子を見ている。
夢中でカレーを頬張っている子供達は美味しいと破顔させていた。
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