4-8
日は沈み、外が暗くなる。
店内の中はカレーのイイ匂いが漂っていた。
漂うスパイスの香りが鼻腔を擽る。
菜月は味見をしてみる。自画自賛してしまうほど、本日のカレーは美味しく出来上がっている。
気合を入れたせいかもしれないが、満足する味だ。
ただ、子供達の為に少し甘めなのが、自分にとってちょっとアレだが……醤油かソースを入れれば、食べられなくもないし、味は甘味を抜かせば美味しく出来上がっている。
弱火で煮込みながら、お玉で鍋の中をゆっくり混ぜる。
そして火を止めると、さらにご飯を盛り、カレールーを掛けてやれば完成だ。
人数が多い為、カウンターではなくカウンターとは向かい側にあるテーブルで食事をすることにする。
菜月はテーブルに食器やおかずを運んで並べていく。
「とーたま!と−たま!でけたかー?」
風花と遊んでいた子供達のうち、勝気な男の子、コン次郎が菜月の元に駆け寄ってきた。
一生懸命足を伸ばしてテーブルの上に並べられている食器やおかずに目を丸くしていた。
カレーを見つめて美味しそう…と涎まで垂らしている。
気付いて涎を拭くと、耳をピクピクさせながら、菜月を見上げると手を伸ばした。
菜月が首を傾げて屈めば、お手伝いしたいと目を輝かせる。
菜月の持っているスプーンに手を伸ばすものだから、菜月は苦笑して、コン次郎に渡した。
「コン次郎、お願いね」
「まかせとけ!とーたま!」
嬉しそうにスプーンを持ったコン次郎は、懸命に背伸びをしてテーブルにスプーンを並べようとする。
しかし、背が、足りない。
テーブルの上の物を覗ける程度だから、並べるのは難しいかもしれない。
菜月は出来るかな?と自問自答しながらコン次郎を後ろから抱える。
コン次郎は思いの他、軽かった。
本当は椅子に乗せて上げても良かったのだが、何となく抱っこの方がコン次郎が喜ぶ気がした。
驚くコン次郎に、菜月が笑みを浮かべて「並べよう」と笑う。
コン次郎は嬉しそうに頷いて、スプーンを並べていく。
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