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 いつ、子供達に会ったのか自分達には覚えがない。

 ただ……ただ、親恋しさの為に自分達に会いに来たのだということは伝わってきた。
 勘違いしているのか、それとも別の理由があって自分達を親と言っているのか、それは分からないけれど。


 子供達は長い時間掛けて、自分達の所まで来たのだ。


 しょんぼりしてしまっている3人の子供、いや3匹のキツネの子の様子を見ていた風花が菜月に視線を送る。
 菜月は腕まくりをして、「よーし」と気合を入れる。
 
「皆、カレーは好き?」
「おいらたち……すきィ」
「よーし、頑張って美味しいカレー作るからね。カレーは時間を掛けて作れば作るほど、美味しくデキるから」
「だってよー?とーたま、美味いカレー作ってくれるってさ」


 パァと顔を明るくして、嬉しそうにウンと頷く子供達。


 笑顔になった子供達の表情に、菜月も笑みを漏らした。
 暗い表情を子供達にして欲しくはなかったのだ。
 子供達をどうするかどうかは後で考えればいい。今は、子供達を喜ばすことだ。


 キャッキャッ騒ぎ出す子供達に、風花が喧しいなと苦笑する。


「風花は子供達を看ててね」
「かーたま、かーたま!なんかしてー」
「ぼくぅー……おはなし、ききたい」
「お話?ウーン、そうだねえ。んじゃ、こわぁ〜い話してあげようか?それとも、人間界の話がイイ?」
「にんげんかいのおはなしー!」
「こわいのヤー!」

 恐い話は不人気のようだ。
 そりゃそうだ、自分だって恐いのは嫌だから。


 風花は人間界の話をしてやろうじゃないかと子供達に向かって話し始めた。
 

「昔、ある人間が猿と犬とキジと一緒に暮らしてたんだ。仲良しだった人間と3匹は、毎日平和に過ごしていたんだけど、ある日。鬼が村を襲ったんだ。鬼は村にあった桃ときび団子を全部奪ったんだよ」

「オニさんひでぇー」

「そこでだ。人間は、おじいさんとおばあさんに猿と犬とキジをお供させて、退治させるよう言ったんだ」

「おじいさんとおばあさん。つよんだぁー」


 風花さん、もしかしてもしかしなくても桃太郎のお話でしょうか?それ。話がメチャクチャなんだけど。
 目を輝かせて聞いている子供達と熱心に語る風花。


 ツッコめる雰囲気ではないのは分かっているが、ウーン……ツッコみたい。


 苦笑しつつ、菜月は野菜を洗っていた。
 菜月の耳に入るのは、風花のデタラメ童話と子供達の歓声だった。
 


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あきゅろす。
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