4-6
勝気そうな男の子がホットミルクを飲み干す。
美味しかったーと気が緩んだ拍子に頭にひょっこり耳が出てきた。
目を丸くして菜月と風花はひょっこり出てきた耳を見る。
よく見れば尻尾も出てきた。他の2人もそうらしく、尻尾や耳がひょっこり現れる。
ふさふさとした尻尾と尖った耳。
風花は何かを感じたのか、もしかして、と子供達に聞く。
「あんた達。もしかしてキツネ?妖気っつーか、そんなの、薄っすら感じる」
「うん!おいら、キツネのコン太郎!」
「おれ、キツネのコン次郎」
「ぼー……ぼく、キツネのコン三郎」
キツネ3兄弟なのだと声を揃えた。
誰が兄ちゃんで誰が弟なのか名前で分かる。
そして親は自分達なのだとばかりに指差してきた。
風花は顎に指を絡め思案する。
もしかして心当たりがあるのかな?と菜月が思っていると、風花はハッとした。
「恋人がいて3人もガキがいる。でも結婚してない。あたしって、結婚する場合、デキちゃった婚になるんじゃない?いや、デキちゃった婚でも、あたし的にはいいんだけど、でもー?こいつ等の年を考えると……菜月、15前後であたしとヤッちゃいましたになっちゃうよなぁ」
「ちょっ、なんでそこにいくのー?!しかも、微妙にデキちゃった婚の意味が違うし!」
「重要じゃない?そこ。ガキがデキたんだよ?菜月とあたしの間に」
「……いやいや、もっと重要なことあるでしょ、風花さん」
「そうだねぇ」曖昧に返事をする風花に脱力してしまう。
薄い橙色の髪をした気の強そうな男の子のコン次郎に、菜月が何処から来たのか訊ねる。
するとコン次郎は耳を垂らした。
フォークを銜えて「いなか」と答える。
「とーたま。かーたま。あいたくて……ずっとずーっと、あるいてきた」
「3にんで、あるいてきた。まいにち、まーいにち……それで、やっとあえたんだ!」
コン太朗が二人に訴える。
「毎日って。俺達に、会いに歩いてきたの?」
「でんしゃに、のったりもしたー…」
「おいらたちな、ガンバッタんだよ。とーたま。かーたま。あいたくて、ガンバッタんだ」
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