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とーたま、かーたま
 
 

 ―――とにかく子供達を連れて帰るしか方法はなかった。
 
 
 キャッキャッ騒ぐ3人の子供を連れて帰った風花と菜月は、店で事情を聞くことする。
 年頃5歳ぐらいだろうか。
 3人に子供にホットケーキとホットミルクを出してやり、事情を聞くことにする。
 嬉しそうにフォークを持ってホットケーキを食べ始める子供達に、風花は元気いいなとぼやきながら「名前は?」と聞く。



 が、聞いちゃいねえ。



 一生懸命ホットケーキを頬張っていることに夢中だ。相当お腹が減っていたようだ。
 額に手を当てて風花が菜月に視線を送る。
 「困ったな」ぼやきながら菜月が優しく訊ねた。

「パパとママは?」
「とーたまはめのまえにいる!かーたまはおとなりにいる!」
「こ、困ったな。即答だよ」
「あー……絶対勘違いしてるんだって」


「ちがうちがうじゃないよ?とーたまはおにやなつきで、かーたまはりんどーふーか!」


 ちょっと待った!

 なんでフルネームまで知ってるんですか?!この子達?!


 唖然とする菜月に対し、薄い橙色の髪をした気の強そうな男の子が「どうだ」とばかりに胸を張っている。
 薄い黄緑色の髪をした勝気そうな男の子は「おいらもしってたもん」と拗ねている。
 薄い水色の髪をした1番大人しそうで内気な男の子が「ぼくだってー……」と唇を尖らせている。
 喧嘩しそうな雰囲気になった為、菜月が「皆、凄いねー」と褒める。


 すると目を輝かせて、うんと頷くとまたホットケーキを頬張り始める。


 褒められた褒められた!と、嬉しそうにホットケーキを頬張るものだから強く聞けない。
 しかも内気な男の子が風花に向かってホットケーキを差し出してくる。

「アーン。かーたま」
「お、あたしにくれるわけ?アーン」
「って、風花さん……なにノッてるの?」
「だっふぇー?くえゆっていうひぃ?」
「食べてから物を言ってね。何言ってるか分からなくはないけど、お行儀悪いから」


 子供達の前なんだから、お行儀よくして欲しい。


 菜月の言葉にめげず、口の中には言っているものを飲み込んで「だってー?」と意地悪く笑う。
 喋りたい時は喋る、これ、悪魔の鉄則。
 なんてワケの分からない言葉を言うものだから、呆れるしかない。

 内気な男の子は嬉しそうに食べてくれたと笑う。

 ガキって、意外と可愛い……なんて、風花が思い胸キュンになったのはナイショだ。
 


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