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いや、まさか、子供がデキるなんて。
結婚してないから、シングルマザーならぬシングルファーザーって言うのかな?
いやいや、風花がいるから子育ては1人でするんじゃないよ。
だから、シングルファーザーっては、言わないよね。
とにかく、頑張らなきゃ。
家族にいつも憧れていた俺が、とうとう子供を持ったんだ。
俺のように淋しい思いさせちゃー………じゃなくて!勘違いしてるよ、この子!
すっかり動揺してしまった菜月が、膝を折って「違うんだよー」と口を開いた瞬間、残り2人の子供が思い切りタックルして飛びついてきた。子供のタックルは強烈だ。
尻餅をついてしまった菜月は、どうにか子供達の体を受け止めるものの困惑してしまっている。
店員は「良かったわね」と言って、子供達に手を振る。
若いお父さんね、とか。
年は幾つなのかしら、とか。
そんな言葉は菜月の耳に入らない。
キャッキャッ、と自分にしがみ付いている子供達に途方に暮れてしまう。
「ねえねえ、とーたま。かーたまはー?」
「かーたまって……」
「菜月、お待たせ。終わった……何、そのガキ達」
「あー!かーたま!」
抱き付いていた子供のひとりが、風花の足に抱きつく。
かーたまと呼ばれ、見事に石像化している風花が菜月に視線を向ける。
菜月は力なく首を横に振る。ワケ分からないのはこっちだって一緒だ。
風花に手を伸ばして「抱っこ抱っこ!」と強請る子供に、風花は言われるまま抱っこをするが思考は固まったままだった。
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