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4-2
 
 
 苦笑して口紅を見比べている風花の様子を見守ることにする。
 唸りながら、色を見て迷っている彼女は新発売の口紅を手に取って悩んでいる。

 微笑ましい光景だ。
 買い物カゴをその場に下ろし、風花から目を放して辺りを見渡す。

 買い物に来ると必ず目に映るのは、親子連れ。
 菜月にとって親子連れは、とても羨ましい光景だった。
 手を繋いでいる親子とか。駄々を捏ねてお菓子を強請る子供と困った顔をしている母親の様子とか。そんな光景が、眩しく見える。
 
 中には、祖父と楽しそうにお喋りしながら、お菓子を買ってもらう子供までいた。
 頭を撫でてもらっている子と、頭を撫でているお爺さん。

 とても懐かしい光景を思い出す。


 自分も、あんな頃があった。

 我が儘言って、よく強請ったっけ?と、思わず微苦笑してしまった。


 ぼんやり親子連れの買い物風景を見ていると、肩を叩かれた。
 ハッと我に返れば、風花が化粧品を買い物カゴに入れていた。

「なに、ぼんやりしてるワケ?」
「え?あー今晩のおかずを考えてたかなー?」
「バーカ。そんな顔してなかったし。あたしの目を誤魔化せると思うなよ、ダーリン」
「ダーリンって……風花には敵わないなー」
「あんたがあたしに敵う筈ないし?」
「それはそれは、御見それ致しました」
 
 表情を見て相手の気持ちが分かるのは、彼女も同じようだ。
 参ったな、と菜月は苦笑しながら買い物カゴを持ち上げる。

 少し重くなった買い物カゴの重みを感じながら、微苦笑している菜月の表情に風花も微苦笑した。
 それ以上何も聞かないのは、彼女なりの優しさだろう。
 風花が選んだ日用品を元の場所に戻しながら、菜月はそう思った。


 有り難くもあり、優しさに嬉しさを感じる。


「さてと、本当に今日の晩御飯何にしよう?何がイイ?」
「ホットケーキ!」
「は、食後にね?俺までホットケーキが晩御飯は辛いよ……カレーとか肉じゃがとか」
「肉じゃが、昨日もじゃなかった?」
「美味しいでしょ?」
「菜月って……爺くさい食べ物ばっかり好きだよなー」

 心底呆れている風花に、確かにと菜月は認める。
 自分の好きな物は和食系全般だ。祖父の影響だと思うが、とにかく洋食より和食派。風花はどちらかというと洋食派。
 

 だから時々食べたい物が噛み合わない時がある。


 結局、何が食べたいか散々2人で話し合ってカレーになった。
 カレーなら何を入れても、大抵美味しく頂ける。
 適当に具材を買い物カゴに入れると、お会計を済ませる。

 どうにか、ギリギリ足りたことにホッとしつつ、買った物を袋に入れる。
 風花はお手洗いに行っている為、菜月ひとりで袋に買った商品を入れていた。
 


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