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3-5
 
 
「好きな異性のタイプは?あ、今の彼氏彼女の名前は出しちゃ駄目ですよ」


「ウーンと、そうだね。年上で気の強い女性かな?」

「そうだねぇ。年下で苛めやすい奴?」


「……あー、お互い、今のタイプにあってますよ。良かったですね。じゃ、嫌いな異性のタイプは?」


「俺様な奴。あたしに指図してくるような男だったら、張り倒す」

「嫌いってワケじゃないけど、ギャル系の女性は苦手かな」


 両者の性格を考えれば、納得のいくお答えだ。
 フムフムと頷いてプロフィールに書き入れる。

「あ、異性のタイプ。あかりさんはどうなの?」
「私ですか?とにかくカッコイイ」
「次の質問。あんたの答え、聞くまでもないよ」
「酷いですよー!まったく、じゃあ、次いきますね。じゃあ、ファーストキス……って、これ、まだ2人とも」
「あたしはないね」
「……お、俺も、ないかなー」

 目を泳がせる菜月に風花の鋭い眼差しが飛んできた。
 冷汗を流している菜月、先程の自分のことは棚に上げ、胸倉を掴んで「あるんじゃないの?」と睨み付ける。


「な、ないよー…あはは」

「あたしの目を見て、正直に言え」


 目を泳がせている菜月がウッと言葉を詰まらせる。 
 

「……っ、あんまり、思い出したくないんだよね」
「あるんだな?あたしの前に、誰かしたんだな?さあ、誰だ!言え!」


「…じっ……だよ」


 菜月がボソボソと言う。
 怪訝な顔をして風花が声を張った。


「はあ?聞こえない。もう1度!」

「だから!じいさまだよ!俺の保護者で祖父のじいさま!」


 じいさま?菜月の祖父?
 固まっている風花とあかりに対し、菜月はだから言いたくなかったのに、と溜息を付いた。
 
「俺が、9歳の時だったかな……川にじいさまと遊びに行って溺れたんだよ。泳げないんだ、俺。運動音痴って知ってるでしょう?」
「う、うんー…それで?」
「溺れた俺をじいさま、助けて下さったんだ。けど、呼吸が止まってたから……じ、人工呼吸」

 つまり、祖父が人工呼吸をして、助けてくれたのだと菜月は言う。
 溺れた自分が、目を覚ましたのはその数分後。
 目が覚めて、まず、祖父が言った言葉は。


『助かって良かったー…心配したぞ。じいさまを心配させよって。じいさまが、お前のファーストを奪ったのは、じいさまを心配させた罰じゃからな?反省せい』


 沈黙が下りる。
 あかりと風花はぎこちなく視線を合わせて菜月を励ます行動に移った。



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あきゅろす。
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