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「よく、あるじゃないですか。恋人同士お揃いのペアなんとかー…って。そうじゃなくても、好き好きオーラ撒き散らすとか。菜月くんと風花さんって、見た目じゃ全然カップルに見えませんしね。カップルというより、仲の良い姉弟というか」
「姉弟……俺と、風花が?」
「そういう風に見えるってことですよ」
目に見える証があるカップル達に嫉妬心を抱いたんですよ、とあかりは菜月に教える。
さらに菜月が今のままで良さそうな雰囲気を出しているから、それがまた風花の機嫌を落下させる原因になったと言う。
恋人同士ならもう少し、恋人らしくしてもいいのではないか!と機嫌を損ねてしまっているのだとあかりが苦笑い。
菜月は、激しく困った。
目に見える証が、風花は欲しいのだということ、凄く分かった。
じゃあ、どうすればイイのだろうか?
恋人として、目に見える証が欲しい……そんなこと、急に言われても。
悩んでいる菜月に、あかりがアドバイス。
「簡単に考えればイイんじゃないんでしょうか?風花さんの1番、喜びそうなことをすればイイと思いますよ」
「…いちばん……ねぇ」
「例えばお揃いのモノを買ってみたりとか。それだけでも安心すると思いますけどね。風花さん」
「お揃い……」
「苦労しますね。風花さんみたいな彼女を持って」
「あはははは。それでも、まあ、惚れちゃったからねー」
どうにか乗り切るよ、そう笑う菜月にあかりは溜息。
早く恋人が欲しい……というか、出逢いが欲しい。
そう、運命的な出逢いが欲しい!
ロマンチックな妄想に浸っているあかりを余所に、菜月はどうしようかなぁーと考えた。
自分のせいで、不安にさせている。
それはちょっと、気分が悪い。ウーンと悩んで唸った。
風花のことを思い描いて悩んでいると、菜月は風花のアレを思い出した。
思い出したものに、菜月は思わず「あ、」と声を漏らしてしまった。
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