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2-3
 

 お揃いの服を着ていたカップルを思い出す。
 ハートのシャツを着ていたカップルは、世間で言うバカップル。

 一応恋人という位置にいる自分達なんて足元にも及ばないイチャつき様に風花は物凄く不機嫌になっていった。
 

 最初は、変なカップルとか思っていたようだ。


 しかし、ハートを撒き散らしてあだ名で呼び合っている恋人に、だんだん腹が立ってきたようだ。
 終いには仕事を自分にだけに押し付ける始末。
 風花はと言えば、部屋に引き篭もってぶすくれていた。

 ムッスー、としている昨日の風花は手に負えなかったと溜息。

 口さえ利いてもらえず、食事の時も憩いの時間も、話し掛けても無視された。



 ただヒトコト。



 風花に「菜月がお子ちゃまなせいだ」と不機嫌な理由が自分のせいなのだと言われてしまい、ホトホト困ってしまったのだ。
 お子ちゃまなせいとか、恋人がー……と、ぶつぶつ文句を言われ、睨まれ、最終的には寝室から追い出された。


 だから昨日は、1階で寝る羽目になった。

 思い出しただけで、頭の痛い出来事。


 どうして不機嫌になったのか、菜月には見当もつかない。
 それが自分のせい……尚更、困っている。


 悪いことをした記憶は全然ないのだけれど。
 頭を掻いて悩んでいる菜月に、話を聞いたあかりは「それって」と少し呆れて数学の教科書のページを捲った。
 
「風花さんが、単に拗ねてるだけなんじゃないんですか?」
「拗ねてる?」
「ウーン、菜月くんって、人間味はあるのに、そういうところは鈍感なんですね。特に恋愛とか」


 と、言われてもー……。


 首を傾げて、恋愛について知識を出してみる。


 恋愛、男女が慕い合い互いに惹かれて恋に落ちる、特別な感情のこと。
 そのことに関して鈍感じゃないか?と言われれば、確かにそうかもしれない。
 唸って腕を組んでいると、あかりは「菜月くんが悪いですよ」と指差してきた。
  


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