不機嫌真っ只中です、悪魔さん。
ホットケーキをフォークで刺しては抜いてまた刺しては抜いての繰り返し。
誰の目から見ても、不機嫌真っ只中ですオーラを出しているのはご存知銀色の悪魔。
非常にお行儀の悪い食べ方をしている悪魔様、マナー違反なんてお言葉はご存じないだろう。
近くに寄っただけでも、とばっちりがきそうなオーラにあかりは避難していた。
風花から1番遠い椅子に座り、イソイソと宿題を広げ菜月に教えてもらっていた。
それがまた状況を悪化させることは分かってはいるけれど、宿題は教えてもらわないと自力では解けない問題だ。
ビシバシ不機嫌オーラを感じながら、菜月に数学を教えてもらう。
丁寧に教えてくれる菜月の説明を聞きながら、チラッと風花を一瞥すればさっきより不機嫌な面持ちになっている。
うわぁ、と声を漏らしたくなった。
むすくれている風花は面白くないのか、ホットケーキを食べてしまうと2階へ上がってしまった。
足音を立てて上がっていく風花が、大きな音を立てて寝室のドアを閉めたらしい。
バッターン!
と、大袈裟なぐらい、大きな音が1階まで聞こえてきた。
そんな風花に菜月は溜息。
「はぁー……、もう、どーしたらいいのかな」
「どーしたんですか?風花さん……すっごく不機嫌そうでしたけど」
「昨日から、ああなんだ。俺と口も利いてくれないほど、不機嫌なんだよ」
「ええ?!菜月くんと口を利かないほど?!……何かあったんですか?」
すると菜月は重々しく溜息をついた。
喧嘩したのかと訊ねれば、首を横に振られる。
喧嘩はしていないけれどー……、と言葉を濁す菜月はあかりを見た。
「実はさ……昨日、依頼人がカップルさんだったんだ。それがもう、胸焼けするぐらいイチャイチャでねー」
「カップルさんが来たんですか?」
「とにかく濃いカップルさんでねー…俺、仰天しちゃったし」
お揃いの服を着ていたカップルを思い出す。
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