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 適当な場所で、足を止めて2人は汗を拭った。


「は、爬虫類…駄目だ!あのニョロニョロしたもの……」
「…デ、デカかったですね」
「拾った時は、あんな…嘘だろ」

 肩を落とし、風花は挫折しそうになっていた。
 本当に爬虫類は駄目らしい。鳥肌を立てていた。


 悪魔にも弱点はあるんだな、なんて思いつつ嫌いな理由を聞く。

 すると、風花は「魔界では」と目を細めた。


「魔界では、蛇とか爬虫類系は悪魔にとって美味しい食材だったんだ」
「…しょ、しょくざ」


 想像しただけで嘔吐感が。


「鱗も皮も剥がさず、スープとかに入ってて…思い出しちゃうんだよ。爬虫類を見ると……魔界の食事は、あたしにとって毒だった。爬虫類の何処が美味いんだ?丸ごとスープに入ってた日には、あたし泣いたね。なのに、あたしのババアは食べてしまうまで席を立つことを許してくれなかった。だから人間界のご飯、スッゲー美味しく感じて……はぁー」


「も、も、イイです…すみません、思い出させて」
「あははは…今じゃイイ思い出さ」

 虚ろな目をして笑う悪魔1匹。
 哀れというか、可哀想だ。いつもの皮肉屋に戻って欲しい。

 人間界に着て良かったですね、と言えば深く頷かれた。
 魔界に生まれなくて良かった…あかりがそう思ったのは内緒だ。
 


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