*ワガママ悪魔(風花)
風花は基本的にワガママ。でも淋しがり屋。そんな小話。
* *
菜月がベッドの上で本を読んでる。
真面目な顔で本を読んでいるものだから、テレビを観ていたあたしはムッとしてリモコンの電源ボタンを押した。
テレビの音が聞こえなくなっても菜月は気付くことがない。本と睨めっこしている。
「ねえ、面白い?」
無視。
菜月は微動だにしない。
あたしが何度話し掛けても、全く反応なし。
なーんか面白くなくて、菜月のベッドに上がって本を覗き込んでみる。
あたしの読めない文字ばっか載ってて意味不明……菜月はやっぱり無視するし。
「没収」
「えッ、あああッ! 風花! ちょっ」
本を取り上げれば、菜月が焦ってくる。
あたしは舌を出して鼻を鳴らして自分のベッドに戻る。
「ちょっと、風花。っもー、返してって」
「ヤダ。没収ったら没収!」
「もー……じゃあ、俺、リモコン没収」
あたしのベッドの上に置いてあるリモコンを取っていく菜月。
チラッと菜月を一瞥すると、菜月は仕方無さそうに笑ってた。
「で、何を一緒に観たいの?」
「べっつー。あたし、そんなんじゃないし」
「じゃあ、俺が風花とテレビ観たいから、何観たいか風花が決めて。俺が決めると、風花文句言うでしょう?」
「菜月があたしと一緒に観たいなら、仕方ないから一緒に観てあげてもイイけど」
クスリと菜月が笑った気がするけど、スルーすることにする。
「菜月が一緒に観たいって言ったんだからね」
「うん。だから風花のオススメ番組を教えて」
「ンー……今の時間帯はー」
リモコンのボタンを押しながら、あたしは口元を緩ませた。
やっぱ、何をするにしてもヒトリよりフタリだよねぇ
End
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