*アインフュールング(雅陽&赤祢)
注意しようともなおさない雅陽の女癖についてと、雅陽自身について。
雅陽の過去について少し触れていたりいなかったり。
* *
「女癖、どうにかならないのかしら。目を放すと直ぐ誰かを挑発的に口説こうとするなんて。きっちり仕事をしているから、強く文句も言えないけれど、少しは自重しようとは思わない?」
「あのー…どうして僕に言うんですか、赤祢。本人に注意するべき話じゃないですか」
「ダラシのない本人は、私の話をちっとも聞こうとしないから」
だからってなんで僕に…そりゃ付き合いは一番長いですけど。
鉄陽は厄介事はごめんだとばかりに溜息をつく。
こっちが溜息をつきたいとばかりに赤祢は、どうにかしてとばかりに鉄陽を見据えた。「無理と思いますよ」鉄陽は肩を竦めてみせる。
「聖界にいた頃から女癖悪かったですから。なおさせようとする方が無駄な努力だと思いますよ」
「改善するべきところはして欲しいわ」
「注意すると、かえって改悪することになりますって。雅陽は昔からそうです。誰かに自分のことで、とやかく言われているのを極端に嫌っていますから」
「どうしてそう捻くれているんだか」
「ははっ、まあ…それは一理、竜夜が絡んでいるんだと思います」
雅陽って幼い頃から、有力な長候補だっていわれていたんです。赤祢も聞いたことありません? 雅陽の噂。
凄かったですよ。子供ながらに手合わせした竜夜の大人に勝ったり、大人と混じって仕事をこなしたりしていたんですからね。僕が雅陽と出会ったのは長候補に選ばれてからなので、子供の頃の雅陽は知りません。
だけど面識を持ってしまったように雅陽のことを知ってしまうんですよ。噂が立つほど、雅陽の実力は凄かった。
「でも雅陽は窮屈だったんでしょうね。雅陽とある程度、親しくなったある日、言ってきましたよ。『長の席はお前に譲る』って。冗談じゃないですって言った覚えがあります。ああ、話がずれましたね。戻しますと雅陽の女癖はきっと、そういう幼少時代の束縛から解放されるための反発なんじゃないかと思います。よくありますよね、優等生が不良になった! っていうの。あれですよきっと」
たぶん、他にも理由はあると思いますけど…取り敢えず女癖を改善することは無理でしょうね。
鉄陽は赤祢に向かって胡散臭い笑顔を向けて見せた。
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