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8-10

  
 事情を聞こうと着信履歴からあかりの携帯番号を探すと発信を選択してボタンを押す。
 コールが鳴った刹那、あかりが電話に出た。


 冬斗は何があったのかと口を開いたが、その前に早口であかりが受話器越しから話してきた。


『とーざい!良かった!直ぐ電話くれたんだ!もう、東西しかいないのッ、ヘルプ!』
「何があったんだ?本条」
『あのねッ、あ?!ジェ『冬斗!電話ダンケ!』


 あかりの声からジェラールの声に代わる。
 どうやらあかりの携帯をジェラールが取ったようで、微かに「まだ何もッ!」とあかりの焦った声が聞こえてくる。 


 怪訝な顔をして冬斗はジェラールにどうしたのかを訊ねれば、ジェラールは涙声で自分に訴えてきた。


『ね、ネイリーが死にそうなのよんっ。冬斗……ジェ、ジェ、ジェラールッ、ネイリーがいなくなったらッ、うううぅ』
「ネイリー先輩に何かあったんすか?!」
『死にそうなネイリーを助けられるのはッ、もう冬斗しかッ、ううぅぅぅっ…お願いッ、生贄に』
「は?生贄?」
『え?あ、コッホン……とにかく冬斗。お願いよん。このままだと、ジェラール、銀行に人攫いに行きそうなの』
「ひ、人攫い?!」



 ……何をする気なのだろうか。



 とにかく“何でも屋”に行った方が話も分かるだろう。


 ゲーム機の電源を切り、テレビを消した冬斗はそっちに行くことを伝え、一旦電話を切ることにした。
 いつもならば制服で行くのだが、今は家にいて外に出てもおかしくない私服。


 着替えるのも面倒だった為、私服で冬斗は“何でも屋”に向かうことにした。


 
「ネイリー先輩。死にそうだって言ってたけど、何があったんだ?」



 ジェラールは涙声だったし。


 緊急事態だということで、冬斗はチャリで行くことにした。
 チャリの鍵を机の上から取ると急いでアパートを出た。



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