クッシャミは未来を予告する。
「ヘックシュヘックシュッ、ヘーックシュン!」
大袈裟だといっても過言な盛大なクシャミを連発した冬斗は、鼻を擦りながら「風邪かな?」と首を傾げた。
しかし背筋に寒気を感じないし、身体もだるくない。至って健康だ。
だったらこのクシャミは誰かが自分の噂をしているのだろう。
どうせクダラナイ噂に違いない。良い噂か、それとも悪い噂か、噂を流されるとしたら後方だろう。
冬斗は気にするだけ無駄だとコントローラーボタンを連弾した。
いつもだったらこの時間帯、部活があっている休日なのだが。
珍しいことに今日は部活も補習もない。
こんな日はダチと遊ぶものだが、今日は一日中家でダラダラしたい気分だった。
クリアしていないゲームソフトを取り出して、朝食後からずっとゲームをしている。
意外とこれで時間を潰せるものだから、ゲームというのは少し恐ろしいものだ。
コントローラーボタンを連弾していた冬斗は、「明日は親父休みだなぁ」と独り言を漏らす。
明日、父親が休みだと面倒なのだ。
こんなにダラダラ出来ないのだから。
そんなことを思っているとテレビ画面にボスキャラが現われる。
冬斗はキタキタキター!と目を輝かせ、画面に釘付けとなった。
「こいつを倒せば、最終ステージに行ける!」
此処まで来るのに長かった!本当に長かった!
待ち望んでいたボスキャラに熱が入り、コントローラーを持つ手に力が篭もる。
ボスキャラに挑む冬斗は、少しテレビに近付いて気合を入れた。
さすが、最終ステージ前のボスキャラだけにあってなかなか手強い。
簡単に倒せないボスキャラに俄然冬斗は燃えていた。
と、机の上に置いていた冬斗の携帯が振動した。
喧しく着信音とバイブ音が鳴る。どうやら電話のようだ。
冬斗は無視することにした。今はこのボスキャラを倒すことに専念したい。
後で確認すればいいだろう、と画面を食い入る。
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