[携帯モード] [URL送信]
クッシャミは未来を予告する。

  

「ヘックシュヘックシュッ、ヘーックシュン!」

 
 大袈裟だといっても過言な盛大なクシャミを連発した冬斗は、鼻を擦りながら「風邪かな?」と首を傾げた。
 しかし背筋に寒気を感じないし、身体もだるくない。至って健康だ。

 だったらこのクシャミは誰かが自分の噂をしているのだろう。
 どうせクダラナイ噂に違いない。良い噂か、それとも悪い噂か、噂を流されるとしたら後方だろう。


 冬斗は気にするだけ無駄だとコントローラーボタンを連弾した。


 いつもだったらこの時間帯、部活があっている休日なのだが。
 珍しいことに今日は部活も補習もない。


 こんな日はダチと遊ぶものだが、今日は一日中家でダラダラしたい気分だった。


 クリアしていないゲームソフトを取り出して、朝食後からずっとゲームをしている。
 意外とこれで時間を潰せるものだから、ゲームというのは少し恐ろしいものだ。
 コントローラーボタンを連弾していた冬斗は、「明日は親父休みだなぁ」と独り言を漏らす。

 明日、父親が休みだと面倒なのだ。
 こんなにダラダラ出来ないのだから。

 そんなことを思っているとテレビ画面にボスキャラが現われる。
 冬斗はキタキタキター!と目を輝かせ、画面に釘付けとなった。



「こいつを倒せば、最終ステージに行ける!」



 此処まで来るのに長かった!本当に長かった!
 待ち望んでいたボスキャラに熱が入り、コントローラーを持つ手に力が篭もる。
 ボスキャラに挑む冬斗は、少しテレビに近付いて気合を入れた。

 さすが、最終ステージ前のボスキャラだけにあってなかなか手強い。
 簡単に倒せないボスキャラに俄然冬斗は燃えていた。


 と、机の上に置いていた冬斗の携帯が振動した。
  
 
 喧しく着信音とバイブ音が鳴る。どうやら電話のようだ。
 冬斗は無視することにした。今はこのボスキャラを倒すことに専念したい。

 後で確認すればいいだろう、と画面を食い入る。



[*前へ][次へ#]

9/17ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!