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*ヲトメ薫り漂う、ある昼下がり(風花&ジェラール)



 ジェラールの男としての気持ち、女としての気持ち、そしてネイリーへの気持ち。
 風花とジェラールは恋愛話に関しちゃ良いコンビです。
 

 * *

 
 風花の質問に、匙でカップの中身を掻き回していた手が思わず止まってしまう。
 そっと風花に視線を向ければ、気の強い眼差しでジェラールをジッと見つめてきたわ。
 興味津々な眼を向ける風花に微笑んでジェラールは誤魔化すように珈琲を啜ったけど、風花の目はジェラールを真っ直ぐ見るばっかり。風花って何事にも真っ直ぐなのよねん。


 それが彼女の良いところなんだけど。


 カップを置いて、ジェラールは風花の眼差しを受け止める。

「ジェラールがどうしてオカマに走ったかって質問だったかしらん?」
「ああ。そうだよ」
「突然、どうしてそんな質問してきたのん?」
「何となく。気になったから」
 
 思うことをそのまんま言ってくる風花って正直ねん。
 ジェラールと同じように珈琲を啜って、風花がジェラールから目を逸らす。


「ネイリーが好きだからオカマになったわけ?」
「そうねん」

「それとも別の意味でネイリーの為にオカマになったわけ?」
「そうねん」

「単に女になりたかったから?」
「そうねん」


 不機嫌そうな顔をして「どれなわけ?」って風花が脹れてる。
 ジェラールは迷うことなく答えたわ。「全部」って。風花はちょっと驚いた顔をしたけれど、フーンって反応を返してくれた。


 そしてまた、風花はジェラールを猫目の瞳に映してくる。


「ネイリーのこと好きなんだよな?」
「勿論よん」
「どんくらい?」
「物差しでは計れないぐらいねん」
「でも、あんたのネイリーに対する好きって、時々深過ぎるよな」
「それだけネイリーを想ってるのよん」
「違う違う。あたしの言う、好きや想うの意味もなんか、こう、恋愛とかじゃなくて……とにかく深いんだよ」

 ビックリしちゃったわぁ。
 風花って結構、聡い子なのねん。

 そうねん。
 ジェラールのネイリーに対する想いって色んなモノがごっちゃ混ぜになって深くなってるわねん。


「友としてネイリーのこと好き?」
「ええ」

「じゃあ、恋愛としてもネイリーのこと好き?」
「ええ」

「あー……だから、オカマになったわけ?」
「え?」


「だって両方の好きが取れるじゃん」

 
 面白いこと言うわねん。風花って。

 ジェラールは風花に笑って、何も答えないまま珈琲を啜ることにしたわぁ。
 まだ、ジェラールの気持ち、誰にもいうワケにはいかないものねん。
 風花はジェラールのことをジッと見てきたけど、肩を竦めてジェラールと同じように珈琲を啜っていたわぁ。ジェラールの心の中の呟きを見越してるみたい。

「ねえ、ジェラール」
「何かしらん?」
「女の子に生まれたかった?」
「そんなことないわぁ。男の子に生まれて良かったと思うわよん。今の気持ちは女の子だけど、男の子で良かったわぁ」
「あんたらしい答えだねぇ」
「風花はジェラールのこと、男の子のままの方が良かったかしら?」
「あたし。オカマなあんたしか知らないしねぇ。何とも言えないけど……でもオカマで良かったと思うよ」

 男の子のままだったら、こんな話デキないし。
 あどけない顔で笑ってくる風花に、ジェラールも笑っちゃった。
 
「ジェラールもオカマになって良かったって思うわぁ」
「ネイリーはビックリしたって言ってたけどねぇ」
「うふふっ、そんなネイリーもまた素敵なのよん」
「そんなこと言えるの。世界中何処探してもあんただけだよ。ジェラール」
 
 
 End



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あきゅろす。
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