Parallel 8 よりによって、アレは総長のもの。 しかも、さっきの様子を見る限り、今迄に類を見ない『お気に入り』だ。 最中に入った事を咎められたのも初めてなら、あんな風に、見る事さえ許さないとばかりに隠されたのも初めての事。 『お気に入り』なんてチープな言葉じゃ、相応しくない位の執着を垣間見た。 ……だが、それでも、あの気紛れな総長が、そう長続きするとも思えないし、飽きる日も、いつかは来るだろう。 そしたら、あの子はオレがもらえば良い。 「……………。」 ………駄目だ。 だって、ソレはいつ? いつになったら、オレはあの子をオレの…オレだけのものに出来る? いつになったら、抱けるんだ? ……いつ、だ? こんな狂った衝動を抱えたまま、じっと待つなんて不可能だ。 その時が来る前に、オレが狂う。 なら、考えろ。 どうすれば、手に入れられるか。 どうすれば、オレの腕の中に、墜ちてくるか。 「……………ああ、抱きてぇ。」 ポツリ、と呟きながら、オレは、 そういえば、あの子の名前は何というんだろうか、と考えていた。 一目で、墜ちた。 それを欲と呼ぶか、恋と呼ぶかなんて、 どうだっていい――。 . [*前へ] [戻る] |