Under
Sweet Trap
「………。」
オレの長期の休みの日の朝は、大好きな人の腕の中から、抜け出す事から始まる。
全寮制学校に通うオレが、この人の元に帰ってこれるのは、長期の休みの間だけ。
離れている事を、この人も寂しいと思ってくれているのか、一緒にいる日はいつも、抱き締めて眠ってくれる。
後ろから絡み付く、逞しい腕を外そうとするが、ガッチリと拘束されていて、中々上手くいかない。
……けっ、馬鹿ップルの惚気かよ。と舌打ちした君。
かなりの重労働なんだよ!?これ!
腕一本と侮る事無かれ。
体格もまるで違う、力も桁違いなこの人の腕の中は、最早、檻。
「…重。」
ギギ、と何とか片腕を持ち上げる。
「……ん。」
「うゎゎ…。」
持ち上げた傍から、黒さんは離れようとしたオレを引き寄せて、ガッチリと抱き込んだ。
…毎朝これの繰り返しだよ。
ペチペチ
「…黒さーん。離して下さいよー。」
軽く頬を叩いてみる。
「………いい子だから、もー少し、寝てろ。」
腕に抱き込んだオレの額に、宥めるようにキスをして、黒さんは再び眠る体制だ。
「…黒さんは寝てていーですけど、オレは朝御飯つくらなきゃなんです。」
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