Others 3 彼にそんな事はさせられないし、なにより、恋人以外とそんな行為をする気も無い、とオレは当然却下した。 だが、 月村は可愛い少年相手にタチ経験ならあるだろうが、ネコは初めてだろうから、失敗すれば二度目は無い、だとか、 初心者同士では、受ける側にケガをさせる、などと繰り返し説かれ、 眼鏡を外した彼の、月村に少し似た顔で誘われたオレは、 愚かにも、彼の手を、とってしまった。 「……………、」 ………そうか。 罰が当たったんだ。 「…月村君は、貴方には相応しくなかったんです。」 「いや。オレが彼に相応しくなかったんだ。」 「違いますっ!!…清廉で実直な貴方に、あんな汚らわしい噂のある…、」 ガァンッ!!!! 「「っ!!?」」 副委員長の言葉を諌めようとしたオレが口を開く前に…、いや、副委員長が言い終わる前に、風紀室の扉が蹴破る勢いで開いた。 オレ達が息を飲む中、 堂々とした様子で部屋へ入ってきたのは、 「…花菱。」 生徒会長こと、花菱だった。 「よぉ、下衆ども。…楽しそうな話してんじゃねぇか。」 花菱は、野性的な美貌を歪め、にやり、と獰猛な笑みを浮かべ、吐き捨てるように言った。 「…花菱、此処は風紀室です。相応しく無い発言も行動も控えて下さっ、!?」 いつもの冷静な様子に戻った副委員長は、花菱を諌めるようにそう言うが、花菱は話を聞くどころか、 ガンッ、と 副委員長の真横の壁を殴り付けた。 「花菱!!」 「…煩ぇ。」 「っ…!?」 暴挙を止めようと、花菱の肩を掴んだが、絶対零度の声音と、殺意をこめた鋭い目に一瞬気圧される。 「相応しく無い、だぁ?…笑わせんな。相手を貶め陥れる事で勝とうとするクズが、何様のつもりだ。」 「っ…、」 「欲しいものを欲しいとも言えずに、そのくせ盗られたなんて被害妄想抱いてるネクラ野郎が、月村を貶めるんじゃねぇよ…。」 殺すぞ、と低く呟く花菱を、止める事も忘れ、オレは呆然としていた。 …陥(オトシイ)れる? …貶(オトシ)める? 副委員長が…月村を…? 副委員長は、否定もせず、唇を噛み締め俯いた。 花菱は、壁にめり込ませた手をあげ、オレへと向き直る。 バキィッ!! 「ぐっ…!!」 容赦無い拳が、オレの頬を抉る。 ダンッ、と壁に強かに背をぶつけ、咳き込むオレに、副委員長は顔を青くした。 駆け寄ってこようとするのを手で制し、オレは花菱を見上げる。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |