Others 11 「…………。」 書記だけでなく、足利先輩も驚いたように目を瞠っている中、叶だけは、『あーあ』とでも言いそうな諦めた顔で嘆息していた。 「…此処は、『仕事をする役員』の為のフロアなの。アンタに居る資格が無いのは分かり切った事でしょー?」 「………………、」 上手く言葉に出来なくて、歯噛みするような顔の書記。 思い知るといい。 世の中には、アンタの思考が読めない奴が大半だということを。 言わなくとも、 考え無くとも、 許されたのは、この狭い箱庭の中だけだという事を。 「…嫌だっ…!」 「……………。」 本当に、駄々をこねる子供と同じ。 嫌だしか繰り返さない書記に、オレはため息しか出ない。 「……嫌だから、やらなくていい。そんな風に全ての事柄が済むなら、誰も苦しんだりしないんだよ。」 オレは、色素の薄い書記の瞳を見据えて、静かな声でそう言った。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |