Others
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「お前らは、オレの大切な幼馴染だからな。」
苦笑しながらそう言うと、2人の顔がパァッと輝く。…本ト、可愛い奴らだよ。
「オレも愛してんぜ…桜。」
後ろから突然、首に腕が巻き付く。
逞しい腕が、オレをぎゅうって抱き込んだ。
「何してんだよ!?柊!!」
「僕の桜に、汚い手で触らないで下さい。」
ガッ、と楓に腕を掴まれているのは、幼馴染その3、柊 雪(ひいらぎ せつ)。
ワイルドな男前は、聞き捨てならない事を言ってなかったか?
オレは大切だとは言ったが、愛してるとは言ってないぞ?
『はよ』と笑う男に、冷ややかな眼差しを送る。
「雪、昨日、加奈ちゃんが泣いてたぞ。」
昨日のふんわり美少女は、コイツの今カノだ。
「桜んトコ行ってたのか…どーりで、朝イチで振られたわけだ。」
おおっと。
…加奈ちゃん、決断早いよ…。
「またデートすっぽかしたって?…やむを得ない事情が無い限り、約束はキチンと守れ。人として最低限のマナーだ。」
「お前との約束は、破った事ないぞ。」
「女の子を優先しろ。」
それで友達やめたりなんかしないから。
そう言い聞かせても、雪は嬉しそうに笑うばかりだ。
ああもう。
コイツらは本当に手がかかる。
「…お前らがちゃんとレンアイしてくれないと、オレは自分の恋をしてる暇もねぇよ。」
疲れたように肩を落とすオレは、気付かなかった。
その言葉に、3人が、満足そうに笑った事なんて。
(((それが狙いだから。)))
これがオレのいつもの日常。
しかし、これから数日後。
幼馴染3人の猛烈アプローチが開始され、オレにとっての非日常が始まるとは…今のオレには知る由も無かった。
END
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