Others
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「そうですよ。夏木のせいで、僕の大切な桜が、多大な被害を被っているんです。」
オレの言葉に続けるように、別の声が、会話に割って入ってきた。
聞き惚れそうに艶やかな、このテノールは…。
「何オレだけのせいにしてんだよ!?お前の被害も、桜に行ってんだぞ!?萩野!」
葵が食ってかかるのは、幼馴染その2、萩野 楓(はぎの かえで)。
振り返ると、煌びやかな王子然とした美貌が、甘い笑みをオレに向ける。
…コイツの場合、付き合う事すらしないからタチが悪い。
「僕は誰とも付き合ってませんよ?」
「ほぉ…清い体だと言い張る気か?」
「彼女らは、あくまでセフレ。ちゃんとそれを分かった上でですから、文句を言われる筋合いはありません。」
そう。
コイツはあくまでセフレだと言い張るんだが、女の子らはそれで済まない。
コイツと繋がりを持ちたくて、セフレ、という立場に甘んじてしまう。
今は体だけの関係でも、いつかは…とあらぬ夢を、こんな最低男に見てしまうのだ。
「…楓。」
「はい?何でしょう、桜。」
オレが呼ぶと、コイツは今まで言い争っていた葵を放置し、嬉々として振り返る。
こーゆートコ、可愛いと思うのに。
女の子にも、オレにするみたいに、甘えてあげたら、きっと上手くいくのに。
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