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Others
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「……っ、」


志摩。
自然に口から零れ落ちそうになった呼び掛けを、オレは必死に飲み込んだ。
伸びそうになる手を、誤魔化す様にジャージのポケットに突っ込む。


久々に間近で見た顔は、相変わらず芸能人も顔負けな位綺麗で。けれど見慣れた志摩の顔とは程遠かった。


能面みたいに張り付いた無表情を見ていると、自分の選択が正しかったのか迷いそうになる。
でも、その迷いを無理矢理断ち切った。死んでしまう未来より、悪いものなんてない。


そう、自分に言い聞かせて。


「この中で一番背ぇ高いのは、潮か。潮、ポジション前で良い?」

「構わない」


白鳥が提案すると志摩はあっさりと頷く。
同チームなのに、あからさまに避ける訳にもいかないので、黙って話の流れを聞いていると、白鳥はオレに話を振ってきた。


「その隣、前列右は魚住ね」

「は?」


何故かオレには疑問形ではなく断定形。
当然オレは反論した。


「何でだよ。オレよりお前の方がデカいだろ」


ちなみに志摩→白鳥→ラグビー部員1→オレ→2→早乙女の順だ。
志摩と白鳥は180越え。ラグビー部員1と2とオレは、ほぼ一緒で175前後。早乙女だけが、170弱。


「魚住って小器用なイメージがあるから、セッターやってよ」

「……お前」


イメージだけで決めるとは。しかも強ち外れじゃない事が恐ろしい。
中学校の球技大会等で、よくオレはセッターをしていた。ある程度練習すれば、一通り出来るようになるのがオレだ。
小器用と言うよりは、器用貧乏だとは思うが。


「まぁいいけど。……あとはどうするんだ」

「オレは後衛がいいな。他の皆は希望ある?」


そう白鳥が問うと、早乙女が顔を上げた。
物言いたげな早乙女は、口を開きかけるが躊躇う様な素振りを見せ、結局は口を閉ざしてしまった。


何を逡巡しているのだろう。


飲み込んでしまった言葉の続きを促そうと、オレは早乙女に声をかけようとした。
だがそれより早く、ラグビー部員が口を開く。


「オレ、前列がいい」

「…………」


その言葉を聞いた瞬間、早乙女の眉がピクリと動く。
それを見たオレは、もしかして、早乙女も前が良かったのか。と納得しかけたのだが……、


「白姫(シラヒメ)はオレの後ろにどうぞ!絶対にお守りしますから」


ドヤ顔で続けたラグビー部員に、オレは呆気に取られた。


白姫って、何ぞ?


「ズリィ!抜け駆けだろうが!!白檀の君、オレもお守りします!」


もう一人のラグビー部員は、そう身を乗り出し、早乙女にアピールした。


ああ、成る程。
白檀の君、以外にも、白姫って呼び方がある訳ね。


納得しながらオレは、冷めた目で二人の男共を一瞥した。


こんな扱いされるぐらいなら、確かに一人でいる方を選ぶわ。
早乙女は立派な男だって、何で分からんかな。コイツ等。


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あきゅろす。
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