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Others
フォローしますか?(Ver副会長)


「…………」


優しくしてやろうと決めてから、約5分後。
ネットを挟んで対面している親友は、一人二人殺ってきたんじゃなかろうか、と言いたくなる位凶悪な顔で此方を睨んでいます。


あれからすぐに練習は切り上げられ、試合が始まった。
体育館の真ん中でコートを仕切り、適当に振り分けたチームでトーナメント方式の試合。当然、授業内で終わる訳もないので、次回はその続きらしい。


でもって、此処からが重要な所。
オレのチームメイトは、白鳥、早乙女、二人は知らない奴。もう一人は今は此処にいないんで、誰だか知らない。
対戦チームを率いるキャプテンは……獅子堂八束君でっす。


「…………」


さっきから殺気が凄い。駄洒落じゃない。マジ目付きがヤバい。


「やーつかぁ…いつまで拗ねてんの」


呆れを隠しもせずにため息を吐き出すと、八束はフン、と鼻を鳴らし横を向いた。
へそまげ続行中。


可愛くねぇ。
嘘。可愛い。


こんな弟いたらオレ、たぶん毎日からかってんだろうなぁ。


「とりあえず、ポジションどうする?魚住」


白鳥に呼ばれ、オレは八束に背を向け歩き出す。
何か言いたげな視線が背中に刺さるが、今は振り返らない。授業終わったら、愚痴でも謝罪でも恨み言でも、いくらでも聞いてやろう。


「ポジションかぁ」


チームのメンバーである知らない二人は、隣のクラスの奴だった。ガッチリした体格のそいつらは、ラグビー部員だった。
白鳥はサッカー部で、早乙女は帰宅部。剣道は地元の道場に通っているそうだ。
んでちなみにオレも、帰宅部。バレー部が一人もいねぇ(笑)


「まぁ素人寄せ集めチームだし、前衛は背が高い奴にしとく?…つか、うちのチームもう一人って誰?」


もう一人がバレー部だといいなぁ、と考えながらのオレの問いに答えたのは、白鳥ではなかった。


「オレだ」

「…っ!!?」


背後から掛けられた声に、オレは一瞬息を止めた。
聞き覚えのあり過ぎる、平坦な低音。同じバリトンでも、八束のものとは違い、冷たい印象を受ける。
だがオレは知っていた。その冷たい声音が、緩む事を。ちゃんと彼にも感情がある事を。


「あ、潮(ウシオ)がうちのチームなんだ」


そんな白鳥の声を聞きつつ振り返る。
襟足にかかる程度の長さの、真っ直ぐな墨色の髪。弓形を描く、繊細そうな眉、その下の切れ長な瞳は色素が薄く、黒と言うよりはグレー。
理知的な美貌からは、感情の一欠片も拾い上げる事は出来ない。


オレが捨てた未来で、親友であった男……潮 志摩が、無表情で其処にいた。


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