Others
11
そっと引き寄せられ、会長はオレの肩口に顔を埋めた。
「だからお前は、手放せねぇんだよ…。」
会長はオレに聞こえないような小さな声で、ボソリと呟く。
机越しで、ちょっと辛い体制だったけど、その優しい拘束をとく気にはなれず、オレはじっとしていた。
「……ジロ。」
「なーにー?」
顔を上げた会長と、至近距離で目が合った。
そのときにはもう、いつもの会長だったので、オレは内心でほっと安堵の息をつく。
「…ご褒美、もう1ついいか?」
「いいよー。なーにー?」
頷くと会長は、オレをソファーの隅に移動させた。
なんだなんだ。
これがどうご褒美に繋がるの、と疑問を投げ掛ける前に、トサッとオレの膝に何ががのしかかってきた。
「……………。」
オレの膝の上には、嫌味なくらい綺麗な会長の顔。
……まぁ、つまりは
――膝枕ってやつです。
「………会長ー?ご褒美って、これー?」
会長は機嫌良さげに笑って、『ああ』と頷いた。
.
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!