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Others
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突然だが、オレの親友の話をしようと思う。


オレの親友…名前は、潮 志摩(ウシオ シマ)。
外見は、頭良さげなインテリ美形。中身は若干意地の悪い部分があるが、面倒見の良い奴だ。


同い年とは思えない程大人びていて、オレが馬鹿やっているのを数歩後ろで見ているようなスタンス。意外と過保護なんで、危なくなりそうな場合は介入してくるけど。


基本無表情だが、たまに浮かべる笑顔が良いと他校の女子や一部のうちの男子に大人気。
担任には、オレの保護者みたいな扱いを受けているオレの大切な友達。


そんなアイツと今日、オレは出会う……予定だった。


神様もどきによって過去に巻き戻されたオレは、分岐点の日にいる。
今日の選択によって、アイツが死ぬ未来を回避出来るらしい。


あの階段から落ちた日から、約一年前の今日。
中庭に近い場所にある自販機の前でオレは、アイツに出会った。


ラインナップを見比べながら、ケツポケに突っ込んである財布から小銭を取り出そうとしたオレは、手元が狂いその場にばらまいた。


貧乏性なオレは慌てて拾い集めていたのだが、それを手伝ってくれたのがアイツで。
ほら、と差し出された小銭を受け取り、勢いよくあげた頭が、見事アイツの顎にクリーンヒット。


暫く二人でその場に踞って、情けなくて思わずこぼした笑いに、アイツも苦笑したのが、オレ達の出会い。


一応クラスメイトだったんだが、深い関わりはそれまで無かった。その小さなきっかけによって、何となくつるむ様になって、一年が終わる頃には一番のダチになってた。


「…………」


空を見上げ、一つ深呼吸をした。
自販機に向かう前に立ち止まり、財布から小銭を取り出す。


財布はしっかりしまう。
小銭は、バラまいてはいけない。




分岐点は、ここだから。


『君が、小銭をばらまいて、彼が拾う……そこが分岐点。もし未来を変えたいと願うなら、君はあの日、彼と仲良くなってはいけない』


神様もどきは、そう言った。


そのルートでは、オレが仲良くなる奴は、志摩ではないらしい。


『違う道筋とはいえ、未来を知っている君なら、出来る事がある筈だ』


出来る事。
その言葉に、少ない筈のオレの良心が痛む。
傍観者であった自分を、自覚しているだけに、動けるなら動け、と言われている様な気がした。


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