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Others
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「……伊都?」


名前を呼び、頬を軽く叩く。
だが伏せられた瞳が開くことは無く。


「…………」


オレは深いため息をつき、項垂れた。


(……どーすんだ、コレ)


完勃ちし、少しも萎えない己の下半身を見やり、オレは情けなく心中で呟く。


無理矢理始めておいて何だが、これ以上無体を働く気にもならない。
自分を見る彼の瞳に怯えも嫌悪も無かった為、好かれたいと言う欲が出てしまったせいだろう。


(それに、伊都の体も心配だ)


また気を失ってしまった彼が、少なからず心配だった。
おそらく、彼の常識外の事が立て続けに起こったせいだとは理解していたが、それでも。


ゆっくりと腰を引き、彼の中におさめたままだった自身を引き抜く。
結合部は見ない様努力する。見てしまったら、そのまま貪ってしまいそうだ。


「……っん、ぁ」

「っ…!!」


抜ける瞬間、伊都の唇から悩ましい声が洩れた。
ビクリと体が固まる。思わず開けてしまった目には、ヒクヒクと誘う様に動く伊都の孔。猿みたいに何度も繰り返し放ったオレの白濁が、コポリと溢れ零れた。


「…っ、」


ゴクン、とやけに大きく喉が鳴った。


……ヤバい。入れてぇ。
揺さ振って喘がせて、身体中舐め回したい。


伊都は麻薬の様だ。
遠くから眺めていた時は、穏やかに見守る事が出来たのに、


一度(ヒトタビ)手を出してしまえば、なくしては生きていけない。上手く息すら吸えない。


……情けねぇな。
こんな腑抜けに、いつからなってしまったのか。


「…………」


ため息を長く吐き出し、オレは身を起こす。
寝る前に、伊都の体を拭いてやらねぇと、と思い立ち。


あどけない寝顔を晒す伊都の髪を一撫でし、ベッドから下りた。


「…………ん?」


ふと、視界に伊都の握り締めた手が映る。
そう言えば、オレの部屋に運び込む前から右手で何かを握り締めたままの様だ。
掌には納まり切れず、端から飛び出た小さな棒。


気になって、伊都の指をゆっくりと開けてみた。
その、何の変哲もない木の棒に書かれた文字を、オレは呟く。




「……当たり?」


一瞬唖然となった後、オレは小さく吹き出した。
必死に握り締めたものが、アイスの当たり棒とか。可愛過ぎだろう。


拾い上げたソレを近くのチェストに投げ、オレは彼の手のひらの中心に口付けた。




「……オレで我慢しろよ」


翌日目を覚ました彼に、もう一度そう言うと、大きく目を瞠った彼は、こう言った。


…総長が当たった!?
(当たりくじになってやれるかは分からねぇけど)
(返品は不可だ)


.


総長の名前が、最後まで出せなかった(笑)

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あきゅろす。
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