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Others
総長が当たりました。(R18)
※このお話は、温いながらも性的表現があります。
18才未満のお嬢様や、そういった内容が苦手な方は、バックプリーズ。
大丈夫な方のみお進み下さい。



主要人物

◇伊都(いと)◇

進学校に通う、ごく普通の高校生。
真面目だが、若干天然。塾帰りのアイスが最近の秘かな楽しみ。不憫。


◇羽璃(はり)◇

伊都の通う塾がある場所一帯を仕切る、族の総長。
超美形。義を重んじる為、人望がある。



―――――――――――――――


オレには、憧れている人がいる。


と言っても、知り合いどころか名前も知らない人だけれど。




その人を初めて見たのは、塾の日。ビルの十階にある学習塾の窓から、何気なく外を見たのが最初。


近くにある、低めのビルの屋上に人影があり、オレは何となく興味を引かれた。
其処は今は使われていない廃ビルなのか、所謂不良の溜り場として認識されている場所で、当然屋上にいる人達も一般人ではなさそうだ。
遠目にも、カラフルな髪色をしている事が確認出来る。


彼らは喧嘩をしている訳ではなく、満月を肴に一杯やっているようだ。
当然未成年なので法律上好ましくないけれど、その辺りは置いておくとして。
この辺り一帯を縄張りとする彼らは、不良としてはかなりの穏健派だと思う。


まず一般人には手は出さないし、壁やらに落書きする事も無い。
かといって弱い訳では無く、対不良ともなれば一騎当千の強さを見せる。


彼らがいるお陰で、悪さする小物も減り、寧ろ昔よりも平和になったと誰かが言っていたっけ。


そんな事を考えながら彼らを見ていたオレの視線は、ある一点を通り過ぎようとした所で止まった。


一段高い場所にある給水タンクを背に、空を見上げている人がいる。
集団から一人外れているその人を見た時、オレは『彼がリーダーだ』と何故か思った。


別に偉そうにふんぞり返っている訳じゃない。他の人らを顎で使っている訳でも無い。寧ろ静かに一人、月見をしている。
けれどその考えは、ストンとオレの中に落ちてきて、確固たる認識となった。




そして、一方的な再会はすぐにやってきた。
馴染みのコンビニで雑誌の立ち読みをしているオレの前を、彼が通り過ぎたのだ。


(……あの人だ)


ガラス越しだが、間近で見る彼は、輝く様な美貌の持ち主だった。
切れ長な瞳に、日本人ばなれした彫りの深い顔立ち。
烏の濡れ羽色、とは男性にも使うのか分からないが、艶のある黒髪と目元の泣き黒子が色っぽい。


一瞬通り過ぎただけなのに、道行く人やコンビニの中に居る人間…勿論、店員も込みで、皆が彼に見惚れた。


「あれ、CROWの人だよね」


興奮に上ずった女性らの会話が聞こえる。
クロウ、とは彼らのチーム名なんだろう。女の子達のお陰でオレは、少しだけあの人の情報を得る事が出来た。


彼はやはりチームの総長で、チームが一般人に手を出さないのは彼がそう決めたからだ、とか。
チームに入りたがる人間は山ほどいるが、簡単には入れないだとか。
一度でいいから、と彼に抱かれたいと願う女性は後を断たず、順番待ちは一年以上だとか。


突っ込み所は満載だ。順番って何処でどうやって管理しているんですかと苦笑が洩れたけれど、


彼が途方も無く遠い存在な事は、良く分かった。


同じ男なら嫉妬しそうなものだけど、あまりにもスペックが違い過ぎて、そんな気にはならない。
胸にあるのは、漠然とした好意。所謂、憧れ。


時折見かける姿に、オレは一方的に想いを膨らませていった。


コンビニで用も無く、長々と雑誌立ち読みしたり。
塾の休憩時間に、窓に張り付いてみたり。




いつか、一度だけでいいから、彼と話をしてみたい。
そんな大きいんだか小さいんだか分からない野望を胸に、オレは日々を過ごしていた。


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