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Others
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何が起こったのか、殆どの人間は理解していない様だった。


唖然とした連中の視線を浴びながらオレは、本日何度目になるか分からないため息を吐き出した。


「止めろ」


そう命ずると共に、二見の胸ぐらを掴んでいた手からスルリと力が抜ける。


それを信じられないものを見る目で、文月は見た。
生徒会や親衛隊の連中も同じだ。例外は渦中の会長とオレ、そして風紀委員長と、二見。それだけ。


風紀委員長…弥生は、頭の後ろで腕を組み、大きくため息を吐いた。
拗ねた子供の様な表情が、洗練された美貌に愛嬌を加える。


「……あーあ。折角、節を出し抜いて元(ハジメ)様の傍にいれるチャンスだったのにぃ」

「何だ、それは」


呆れ顔を向けると、ニッコリと弥生は笑った。


「制裁対象と風紀委員長なんて、これ以上無い位自然な組み合わせじゃない。そこから恋が芽生えても何ら不思議じゃないよー」

「で、オレは更に沢山の生徒から制裁対象に認定される訳だな」


自分が、生徒会長と人気を二分するカリスマだと言う自覚があるのだろうか。コイツは。
半目で睨むが、堪えた様子は無い。


「元様」


別方向から、凛とした声に呼ばれる。
顔を向ければ、刃の様な鋭い美貌が和らぐ。


嬉しそうな会長に、オレは無表情のまま問うた。


「節……お前の拳は、何の為にある」

「御身をお守りする為に」


即座に揺るぎない答えが返る。心臓に手をあてた如月は、静かな瞳で言い切った。


「ならばこんな脆弱な者に振るうな。オレの敵は、この狭い箱庭にはいない」


オレのものである自覚があるのならば、こんな小物に手をあげる事は許さない。
シルバーフレームの眼鏡を外し、そう告げる。


逆にクリアになった視界で見た如月の黒曜石の瞳が、見開かれた。
次いで喜色が溢れた様な表情で微笑む。


そして躊躇い無く、オレの前へと跪いた。


周囲が息を飲む。
けれど全くソレを気にした様子も無く、如月は忠実な騎士の如く頭を垂れた。
魅惑的なバリトンが、ネイティブな発音で告げる。


「――Yes my lord.(御意に、我が君)」


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あきゅろす。
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