[携帯モード] [URL送信]

Others
王は哂う。
◇主要人物◇

【睦月 元(ムツキ ハジメ)】
クールな主人公。整った容姿だが、眼鏡や髪型で地味に装っている。

【文月 海(フヅキ ウミ)】
転校生。大和撫子を思わせる美人だが、内面は天真爛漫で明朗快活。

【如月 節(キサラギ セツ)】
孤高の生徒会長。迫力のある美貌に加え天才である為、圧倒的な支持率。

【弥生 雛(ヤヨイ ヒナ)】
チャラい風紀委員長。
自ら風紀を乱しているが後ろめたさは無いらしく、恐るべき検挙率を誇る。

【二見 愛(フタミ アイ)】
生徒会長親衛隊、隊長。西洋人形の様な美少年。


―――――――――――――――



「アンタ、一体どういうつもり?」


厳しい目でこちらを睥睨する少年らの中で、リーダー格らしい少年が一歩前に出るなり、そう言った。
他の奴らと一線を画す美貌と気迫。おそらく彼は親衛隊の隊長なのだろう。


怒気をはらんでも尚崩れぬ端正な顔立ちを見つめながらオレは、ぼんやりとそんな分析をしていた。
当然彼の質問に明確な答えを返す事もしなかった為、美少年の眉間に深いシワが刻まれる。


「……ちょっと、聞いてるの?睦月 元(ムツキ ハジメ)」


苛つきながらも、美少年は声を荒げたりはしなかった。後ろでピーチクパーチク騒いでいる三下とは矢張り格が違う様だ。


「……聞いていますよ。オレが転校生を利用して、生徒会に取り入っているってお話でしたよね?」

「…………」


無表情のままそう返せば、美少年は不快感を表す様に眉間のシワを一本増やした。


先月末にオレのクラスメイトになった転校生は、天真爛漫な美人で、名は文月 海(フヅキ ウミ)。
大和撫子を思わせる大人しやかな美貌の持ち主なのにも関わらず、明朗快活な性格で、彼は転入から一月も経たずに学園の人気者となった。


そして人気は一般生徒には留まらず、この学園のトップ集団――生徒会までもが彼に陥落。
生徒会を慕う親衛隊は、当然荒れた。


学園は今、混乱の真っ只中にある。


本来ならば、親衛隊のターゲットとなるのは渦中の人物である文月だろう。
だが彼は最早、学園の人気者だ。文月に制裁をすれば、多くの生徒を敵に回す事になるだろう。


動くに動けぬ状況に、親衛隊は鬱積を溜めていった。
そうして溜りに溜まったフラストレーションは、今オレへと向けられている。


何故か文月に気に入られ、傍にいる事が多いオレへと。


「…………」


ハァ、とオレは長く息を吐き出した。
ふてぶてしいオレの態度に、美少年の視線の鋭さが増す。
それに臆する事無く、オレは淡々と問う。


「……そう見えます?」

「……っ、」


美少年は、唇を噛み締めた。声を詰まらせた事自体が答え。
他の奴らは、本気でオレが転校生に取り入って生徒会に近付いていると信じているのかもしれないが、この少年は違う。


おそらく気付いているのだろう。
オレが転校生に近付いているのでは無く、転校生がオレに近付いているのだと。


少し観察眼がある人間ならば、容易く気付ける筈だ。
オレの居る場所に文月が寄って来て、その後生徒会連中が集まってくる図式に。


理解していながらも、オレを制裁対象にした理由は……大体予想がつく。


彼が察しが良く、聡明である事。それ故、気付かなくていい事にまで気付いてしまった事。

そして彼が、


『生徒会長親衛隊』の隊長である事が理由だと思われる。


.

[次へ#]

1/6ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!