Others
8
いつからだろう。
――いつから、この人は…。
「……………。」
「…………、ジロ?」
会長の執務机の前に立ち、じっと彼を見つめるオレを、会長は不思議顔で見上げた。
オレは、さっきの会長のように、ポケットを探る。
ゴソゴソと探って取り出したのは、小さな、飴。
「………?」
赤にピンク、緑と黄色、青、紫…透明の包み紙に巻かれた色とりどりの飴。
「あめ、あげる。」
そう言うと会長は、虚を突かれたように目を丸くした。
「オレの好きな飴ですー…。ちなみにオススメはグレープ。」
会長の手をとり、紫色の飴を、コロンとのせた。
「……、」
会長は暫くして、フハッ、と可笑しそうに笑った。
「…相変わらずマイペースだなぁ、お前。」
うん。
よく言われるー。
「…で、一番好きなの、貰っちゃっていーのか?」
肩を揺らしながら笑う会長は、悪戯っぽい目でオレを見て、からかうように言った。
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