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Others
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冷えた声音は、オレの隣から聞こえた。
見ればさっきまで穏やかな微笑を浮かべていた霧原は、冷えきった声と視線を晴に向けている。


「…霧原君?」


おいおいどうした、霧原よ。
目からビームが出そうになってるぞ。


だが晴は怯んだ様子も無く、ニコニコとしながら生徒会室の奥へと進む。


「ごめんね、霧原君!雷(ライ)を起こしたら、すぐ出ていくから!」


悪びれずに晴が手をかけるドアは、隣に設置された仮眠室へと続くドア。


晴はそのまま消えていく。


…今は、生徒会長、雷が眠っている、仮眠室へと。


「…………。」


我が弟ながら、その敢えての空気の読まなさっぷりには感心するわぁ…。


「…どういう事っすか?副会長。」


ヒヤリ、とした声音が、霧原とは違う方向から投げ掛けられた。

見なくても、分かる。

聞いた事も無い底冷えのするような声で、でも口調は何時も通りだったから、余計怖ぇ。


イケメン爽やかスマイルを浮かべる嵐山の目は、笑っていないどころか氷点下でした…。


いつからウチの生徒会は、目からビームが標準装備になったんですか。


「………えーと、見たまんまです。」


ヘラリ、と誤魔化すように笑い、小さく呟くと、後輩二人の眼光が増した。……怖ぇよ。


「…盗られた、と?」


霧原は、淡々とした口調で、簡潔に告げた。
直球過ぎ。


「…会長とは、昨日別れました。」


オレは嘆息し、呟いた。

本当はさっき、これも含めて説明する筈だったんだがな。


「盗られたんでしょう。」

「……………。」


…しつけぇ。
つか断定口調で詰め寄ってくるな。


若干イラッとしつつも、なんとか猫を被り苦笑を浮かべた。


「…天真爛漫な晴に惹かれるのは、仕方の無い事なのでしょう。」

「…天真爛漫、っすか?」


ハハッ、と嵐山は空々しい笑い声をあげる。
…人が精一杯、悲劇のヒロインを演じようとしているのに、二人で邪魔をするな。


此処は、『元気だしてくださいね。』とか『先輩にはもっと合う人がきっといますよ。』とか、当たり障りの無い言葉でお茶を濁すのが妥当な場面だろうが。


「確かに何も考えてないみたいっすが、天真爛漫なんて良いモンじゃないっすよね。」

「自分の兄の恋人を奪っておいて、申し訳なさそうな顔一つせず、ズカズカと踏み込んで来る…ただの無知で恥知らずなガキです。あれは。」


…人の弟つかまえて、随分辛辣だな、お前等。

ま、フォローする気も無いけど。


良く言って、天真爛漫。
悪く言えば、厚顔無恥。


弟に対するオレの評価は、そんなとこ。


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あきゅろす。
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