Others
5
チュ、と月村の頭に軽い口付けを落とすと、ビクッ、と大袈裟なくらい跳ねた。
オレの腕の囲いから逃げようと、ワタワタし始めた月村は、小動物みてぇで凄ぇ可愛いが、
「…なんで逃げんだよ。」
「や、逃げるでしょ。…なんか会長変だよ?」
「今日からこれがオレのスタンダードだ。」
「何で!!?何サラッととんでもない事言ってんの!?」
何時もの緩い様子では無く焦る月村に、オレは喉を鳴らして笑う。
「可愛いな、月村。」
「っ!!?…か、会長ぉ?」
「焦ってるお前も、可愛い。」
「…………や、やめて下さいぃー…恥ずかしくて死んじゃう。」
「………やべぇ何ソレ、エロい。もう一回言えよ。」
「!!?」
いきなり変わったオレに、月村は顔を赤くしたり青くしたり忙しい。
少しづつ甘い言葉に慣れさせようとしたが、月村の反応が可愛すぎて、ついつい度が過ぎた。
「……ちょっと会長ー、月ちんにセクハラすんのやめてよ!」
「こっちにいらっしゃい、月村。孕まされますよ。」
「…会長。自重して。」
いつの間にか扉が開いていて、残りの役員らが、オレらのやり取りを見ていた。
庶務はキッとオレを睨み、
副会長は母親の顔で月村を呼び、
書記はうろんな目でオレを見て、諫めるように呟いた。
散々な言われようだが、コイツ等はオレを応援してくれている。
…まぁ奴らの中では、オレ<月村が基本方程式なんで、月村の気持ちを最優先にした上での、だが。
それでも。
強力な味方である事に変わりはない。
なぁ、月村。
オレはお前を追い詰めるつもりは無いし、無理矢理何かを強いるつもりも無い。
間違えても、迷っても、前に進み続けるお前の邪魔をする気はねぇよ。
だが、ゆっくりめなお前だからこそ、少しだけ、
オレの方からも歩み寄ってもいいだろう?
焦りはしないが、
寝て待つ気は、更々無い。
(余裕綽々にはなれないのもあるが、)
(何よりお前から、目を離したくねぇんだよ。)
END
[*前へ]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!