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Others
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チュ、と月村の頭に軽い口付けを落とすと、ビクッ、と大袈裟なくらい跳ねた。

オレの腕の囲いから逃げようと、ワタワタし始めた月村は、小動物みてぇで凄ぇ可愛いが、


「…なんで逃げんだよ。」

「や、逃げるでしょ。…なんか会長変だよ?」

「今日からこれがオレのスタンダードだ。」

「何で!!?何サラッととんでもない事言ってんの!?」


何時もの緩い様子では無く焦る月村に、オレは喉を鳴らして笑う。


「可愛いな、月村。」

「っ!!?…か、会長ぉ?」

「焦ってるお前も、可愛い。」

「…………や、やめて下さいぃー…恥ずかしくて死んじゃう。」

「………やべぇ何ソレ、エロい。もう一回言えよ。」

「!!?」


いきなり変わったオレに、月村は顔を赤くしたり青くしたり忙しい。

少しづつ甘い言葉に慣れさせようとしたが、月村の反応が可愛すぎて、ついつい度が過ぎた。



「……ちょっと会長ー、月ちんにセクハラすんのやめてよ!」

「こっちにいらっしゃい、月村。孕まされますよ。」

「…会長。自重して。」


いつの間にか扉が開いていて、残りの役員らが、オレらのやり取りを見ていた。

庶務はキッとオレを睨み、
副会長は母親の顔で月村を呼び、
書記はうろんな目でオレを見て、諫めるように呟いた。


散々な言われようだが、コイツ等はオレを応援してくれている。

…まぁ奴らの中では、オレ<月村が基本方程式なんで、月村の気持ちを最優先にした上での、だが。


それでも。
強力な味方である事に変わりはない。




なぁ、月村。


オレはお前を追い詰めるつもりは無いし、無理矢理何かを強いるつもりも無い。


間違えても、迷っても、前に進み続けるお前の邪魔をする気はねぇよ。



だが、ゆっくりめなお前だからこそ、少しだけ、

オレの方からも歩み寄ってもいいだろう?



焦りはしないが、

寝て待つ気は、更々無い。
(余裕綽々にはなれないのもあるが、)
(何よりお前から、目を離したくねぇんだよ。)


END

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あきゅろす。
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