Others
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「……………。」
立ち止まっていた足を、再び動かし、オレは足早に生徒会室へ向かう。
昔を思い出しているうちに、凄ぇ月村の顔が見たくなった。
あぁオレ、ダセェ。
顔が見たいも何も、離れていたのは一時間弱だ。
付き合いたての中学生でもあるまいし、四六時中一緒にいたいとか、流石に痛ぇよ。
分かっていても足は止まらず、ともすれば駆け出しそうな自分を叱咤した。
「…………?」
生徒会室が見え始めた頃、その扉の前に人影がある事に気付く。
「…っ!!」
「………あ!お帰りぃ、会長。」
俯いていた顔を上げ、オレを見つけ、嬉しそうに顔を輝かせたのは、
今迄、無性に会いたいと思っていた月村だった。
「どうした?何かあったか?」
何故こんな所でつったってるのか疑問に思い、もし何事か起こっているのなら、その憂いを晴らすべく、オレは直ぐ様月村に駆け寄る。
だが月村は、ゆっくりとかぶりを振り、穏やかに相好を崩した。
「ううん、何にも。…会長遅かったから、お出迎えに来ちゃったぁ。」
「っ…!!」
照れくさそうに、くすぐったそうに笑む月村は、多分オレに、『馬鹿言ってんじゃねぇよ』的な突っ込みを期待していたんだろう。
バッと口を押さえたまま黙り込んだオレに、『アレ?』と首を傾げている。
…だが、オレはそれどころじゃねぇ。
オレが遅かったから、お出迎えだと…!?
んだよソレッ…クソ可愛いじゃねぇか!!!←
上目遣いは止せ…小首を傾げるんじゃねぇ…お前はオレの理性を試してんのか!!
「本当は迎えに行きたかったんだけど、会長何処に行ったのか誰も教えてくれないし、オレ一人じゃ辿り着けないから、此処で待ってなさいって言われちゃったぁー。」
あはは。と笑う月村は多分、『しょうがねぇ奴』とか『未だに校内で迷うんじゃねぇよ』的な突っ込みを期待しているんだろう。
だがしかし、
今のオレは、突っ込み属性且つお前の保護者な会長じゃねぇんだよ。
「出迎えてくれるだけで、凄ぇ嬉しい。」
「あははぁー………はっ??」
「ただいま、月村。」
「えっ、…は、あ?え?………おかえりなさい。」
さりげに後退り、逃げようとしている月村を扉にやんわり押し付けるように手をつき、退路を断つ。
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