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Others
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『さっきのだって、違う言い方だって出来たのに、わざわざキツい言葉選んだのは、このままじゃいけないって思ったからでしょ?』

『…違ぇ。思ったまま言っただけだ。』


副会長は少し、自分の親衛隊を見下している部分があった。
好き嫌いは個人の自由。首突っ込む気は無かったが、利用しているとなれば話は別だ。

利用っつっても、忙し過ぎる時に、仕事の手伝いさせたり、授業に出れない時のノート借りたり程度のものだが、見下した人間の力を借りるっつーのは、如何なモンだ。


プライド無ぇのかテメェ。

山よりも高そうなプライドを持つ副会長に、敢えてそう言った。


『1人で憎まれ役にしちゃって、ごめんね?』

『っ、…だから、そんなつもりはねぇつってんだろうが。』

『でもね、副会長ね、ちゃんと考えてたよ。自分の何処が悪かったか、会長が何を言いたかったのか。』

『……………。』

『普段会長が、自分勝手に怒鳴り散らすだけの人だったら、そうはならなかったと思う。…ちゃんと、オレ等の事とか、生徒の事、見て考えてくれる会長だから、副会長とも喧嘩別れにはならないよ。』

『……………。』


…違ぇよ。

オレはそんな勝手な奴だった。

相手の気持ちなんて汲まずに、自分の言いたい事だけ言うような、最低の奴だったよ。


副会長が、オレの言葉の意味を考えようとしているのだって、お前がいるからだ。

お前が、副会長の気持ちも汲みながら、オレのフォローもしてくれるからだ。


お前がいなきゃ、オレらはとっくにバラバラなのに。
なんでそんな、自分は何もして無い、なんて顔でニコニコ笑ってんだよ。


『会長、もう怒ってない?』

『…初めから怒ってはねぇよ。』

『そっか。……だってよ?副会長ぉ。』

『!?』


暫くして、ゆっくりと開いたドアから、気まずそうな顔の副会長が姿を現す。
どうやらずっと、扉の前に居たらしい。


月村は、『追っかけてくのはいいけど、オレが1人で、そんなすぐに帰ってこれる筈無いじゃぁん〜。』なんて悪びれずに笑った。

ようは、道案内ついでにとっとと仲直りさせちまおう、みたいな感じか。



本当、月村には適わねぇ。


副会長を見ると、どうやら同じ事を考えているような苦笑を浮かべていて、


目が合ったオレらは、今迄喧嘩していた事も忘れ、頷き合った。


『何アイコンタクトしてんの?ズルいー。』


少し拗ねたように口を尖らす月村は、どちらかといえば格好良いと表されるような容姿だが、


オレには誰よりも、


誰よりも…可愛く見えたんだ。


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あきゅろす。
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