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Others
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細かい事は省くが、結果として庶務の予想は的中。


胸クソ悪い展開に、まだイライラが治まらねぇ。


庶務や副会長じゃねぇが、まとめて地獄を見せてやりたい。
…月村が、そんな事を望むわけも無いので、やらないが。


「………チッ、」


苦々しい思いを吐き出すかわりに、短く舌打ちした。


…ったく。
いつからオレは、こんな平和主義になったんだか。


昔は気に入らないモンは取り敢えずぶっ飛ばしてたし、潰すなら徹底的に再起不能にしていた。

事実確認なんて面倒な事はしねぇ。
気に食わなきゃ、それが理由だ。それ以上なんて必要無い。


――そんな男だった。オレは。


「……………。」


ソレを直そうなんて思った事は無く、そんな自分を恥じた事も無かった。


…だがお前に会ってからオレは、

ゆっくりと、
だが確実に、

変わっていったんだ。




月村の最初の印象は、やたら綺麗な顔の、チャラそうな奴。

何度か会話して、話しやすい奴、に変わって、


仲間として過ごすようになったある日。


オレは副会長と派手な喧嘩をやらかした。


飛び出して行った副会長を、月村が追っかけてくれて、内心、安堵した覚えがある…アイツが一緒なら大丈夫だ、なんて、この時既にかなり信頼していたんだな。


暫くたって、1人で戻って来た月村の表情には、怒りも侮蔑も無く、ただ何時もの笑みでは無く、多少、困ったような苦笑を浮かべた。


『…会長ぉ。』

『…んだよ。謝らねぇぞ、オレは。』


何かを言われる前に突っぱねたオレに、月村は苦笑を深める。


『別に謝らなくていいと思うよ?』

『…は?』

『会長が言った事、正しいと思うし。』


正しい、と肯定した言葉のまま、月村は、諫めようとも責めようともしない。


逆にそれが居心地が悪くて、オレが眉間にシワを寄せ、視線を彷徨わせると、月村は優しく瞳を緩めた。


『会長ってさぁ、』

『………何だ。』

『損な性分だよねぇ。』

『…………何?』


月村の言葉に、オレはポカンとした。

…初めて言われる言葉だ。


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あきゅろす。
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