Others
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彼にそんな事はさせられないし、なにより、恋人以外とそんな行為をする気も無い、とオレは当然却下した。
だが、
月村は可愛い少年相手にタチ経験ならあるだろうが、ネコは初めてだろうから、失敗すれば二度目は無い、だとか、
初心者同士では、受ける側にケガをさせる、などと繰り返し説かれ、
眼鏡を外した彼の、月村に少し似た顔で誘われたオレは、
愚かにも、彼の手を、とってしまった。
「……………、」
………そうか。
罰が当たったんだ。
「…月村君は、貴方には相応しくなかったんです。」
「いや。オレが彼に相応しくなかったんだ。」
「違いますっ!!…清廉で実直な貴方に、あんな汚らわしい噂のある…、」
ガァンッ!!!!
「「っ!!?」」
副委員長の言葉を諌めようとしたオレが口を開く前に…、いや、副委員長が言い終わる前に、風紀室の扉が蹴破る勢いで開いた。
オレ達が息を飲む中、
堂々とした様子で部屋へ入ってきたのは、
「…花菱。」
生徒会長こと、花菱だった。
「よぉ、下衆ども。…楽しそうな話してんじゃねぇか。」
花菱は、野性的な美貌を歪め、にやり、と獰猛な笑みを浮かべ、吐き捨てるように言った。
「…花菱、此処は風紀室です。相応しく無い発言も行動も控えて下さっ、!?」
いつもの冷静な様子に戻った副委員長は、花菱を諌めるようにそう言うが、花菱は話を聞くどころか、
ガンッ、と
副委員長の真横の壁を殴り付けた。
「花菱!!」
「…煩ぇ。」
「っ…!?」
暴挙を止めようと、花菱の肩を掴んだが、絶対零度の声音と、殺意をこめた鋭い目に一瞬気圧される。
「相応しく無い、だぁ?…笑わせんな。相手を貶め陥れる事で勝とうとするクズが、何様のつもりだ。」
「っ…、」
「欲しいものを欲しいとも言えずに、そのくせ盗られたなんて被害妄想抱いてるネクラ野郎が、月村を貶めるんじゃねぇよ…。」
殺すぞ、と低く呟く花菱を、止める事も忘れ、オレは呆然としていた。
…陥(オトシイ)れる?
…貶(オトシ)める?
副委員長が…月村を…?
副委員長は、否定もせず、唇を噛み締め俯いた。
花菱は、壁にめり込ませた手をあげ、オレへと向き直る。
バキィッ!!
「ぐっ…!!」
容赦無い拳が、オレの頬を抉る。
ダンッ、と壁に強かに背をぶつけ、咳き込むオレに、副委員長は顔を青くした。
駆け寄ってこようとするのを手で制し、オレは花菱を見上げる。
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