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Others
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ショック。
未だに校内で迷うとか凄い凹む。

どーりで辿り着くまでに軽く30分はかかる訳だ。


「じゃあ風紀室ってどう行くの?」

「今はソレは置いとけ。どうでも良くはねぇが置いておけ。」

「はぁーい。」


また話が脇道に逸れ始めたのを、会長によって軌道修正された。


「…見回りに出ちゃってるかも、とも思ったんだけど、途中で会った風紀委員の子に聞いたら、委員長なら風紀室にいると思うって言われたから、」
「待て!!」

「………カイチョー…」

「おまっ、…よりによって…あの堅物が相手か…!!」


うろんな目を向けるオレには構わず、会長は激昂した。


堅物、と呼ばれた風紀委員長は、確かに寡黙な男前だ。
弓道部の主将を兼任する、ストイックな美貌の持ち主。

ちなみにフェロモンだだもれな会長との相性は、すこぶる悪い。


「…もー…会長、最後まで聞く気あります?」


ふてくされ、ため息混じりにオレが呟くと、会長はキレ気味に笑った。
何かのメーターが振り切れてしまった模様。


「あぁ。…ここまで来たら、最後まで聞いてやろーじゃねぇか。」


クックッ、と喉を鳴らして笑う様子は、子供が見たら泣き出すどころか、ひきつけを起こしそうです。


「それで、風紀室に向かう途中で鳥居(トリイ)先生に理科室に連れ込まれそうになったのを躱して、」

「突っ込まねぇぞ…今は。風紀室に向かうのに何で理科室の前通るんだよとか、鬼畜眼鏡死ねとか、突っ込まねぇぞオレは。」


既に突っ込んでるようなモンじゃないだろか、とは言いません。
だって会長、据わった目でブツブツ言ってて不気味。


「んで漸く風紀室に辿り着いた」
「おぉ。」
「…かに見えた。」
「…おい。」


漸く本題かと身を乗り出した会長は、呆れた顔で呟く。
いや、オレだって焦らしているつもりは全く無い。


「風紀室かと思いきや、其処はなんと家庭科実習室で」

「ついに特別棟へ行った!!建物さえ違うっつーの!!しかも名前の響きどころか文字数すら違うだろーが!!」

「なんだよ…じゃあ風除室ならよかった訳!?」

「風除室は目的地にはならん…つか、いくら語感が多少似てようと、風除室と風紀室を間違えるようならお前が行くべきなのは先ずは病院だ。」


んもぅ!この子ってば屁理屈ばっかり言って!

オカンみたいな怒り方をしつつも、オレは話を続ける。漸く本題です。


「流石のオレも、間違ってる事に気付いて、もいっかい風紀室を目指したら…途中の空き教室で、風祭(カザマツリ)さん…風紀委員長の声が聞こえたんだ。」

「……空き教室で、か?」

「うん。」


訝しむような会長の目を見つめて、オレは頷いた。


「何してたんだ?」

「えっち。」

「!?…誰がだ!!卑猥な質問をした覚えはねぇ…、」

「じゃなくて。…してたの。えっち。」

「は……?」


呆然としている会長に、オレはズイ、と詰め寄った。


「ねぇ会長。オレの認識間違ってたのかな。男同士って初めてなんだけど、女の子とは違った決まりごとでもあるの?」

「あ?」

「好きです付き合って下さい。→いいよ。で成立するもんじゃないの?なんか特別な献上品でも奉納しなきゃ駄目?それともセフレ的な関係が一般的で、貞操観念的な一途さは期待する方が間違ってるのかな?それとも、」
「月村。」


まくしたてるオレを、会長は静かな声で遮った。


「待て。」


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あきゅろす。
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