Others
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「…そんなトコも、好きだったんでしょ?」
ね、って笑うと。
堰を切ったかのように、ホロホロと少女の瞳から、大粒の涙がこぼれた。
愛らしい瞳を吊り上げていたのは、泣くのを堪えていたから。
怒っていないと、泣いてしまいそうだったから。
姿のままに、とても愛らしい少女だ。
…あんないいかげんな男には、勿体ない位に。
「さ、っくらちゃ…」
ひっく、と嗚咽を堪えながら見つめてくる少女に、無言で両手を広げると、タックルをかますように飛び掛かって…ゴホン、腕の中に飛び込んできた。
「うわーんっ!」
「よしよし…。」
泣き続ける少女を、オレはずっと抱き締め、髪を撫で続けた。
「……ひっく。…ありかと、ね?桜ちゃん。」
「いーえ。泣いてくれた方が、オレも安心。…我慢しちゃうと、心が壊れちゃうから。」
笑顔で、少女の目元を拭ってやる。
「酷い顔、してるでしょ?」
少女は照れを誤魔化すように、苦笑する。
でも、泣き腫らした少女の顔は、憑き物が落ちたみたいにスッキリしてて、そんな風に笑うと、とても綺麗で可愛らしい、とオレは思った。
「何で?可愛いよ。」
「っ!!」
少女は一瞬で、ボン、と顔を真っ赤に染めた。
「…桜ちゃん。」
「ん?」
「…私、本当の恋に目覚めたみたい。」
「………ん?」
ガシッ、と両手を握られる。
んん??
「桜ちゃん。…私、桜ちゃんの事が……。」
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